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暴露
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西浦という苗字の家系に生まれておいて、恋と書いてレンと読む中二病全開の名前を付けられた。それは今から17年ほど前の話だけど、もし過去に戻れて生まれたての俺が喋れたら「お願いだから!!頼むから!!普通の名前にしてください!一捻りとか要らないんで!」って懇願する。
そんな俺が生まれた二時間後にお隣の木ノ下さん家でも赤ちゃんが生まれた。なんでも、生まれる瞬間まで恐らく女の子だと言われていたので名前は「愛」にすると決めていたらしいが、いざ生まれてみたらチンコの立派な男の子だったらしい。それでも木ノ下家の息子さんは「愛」と名付けられた。男なのに女みたいな名前を付けられたお隣さんに心底同情する。
家はとなり、誕生日はおなじ、幼稚園から高校二年のこの夏まで一度もクラスが離れたことがない、……。
つまり愛と俺は幼馴染、というやつだ。
両親が居ない時はどちらかの家で飯くったり、月に二回はどちらかの家でホームパーティーをしたり、家の鍵忘れたら愛ん家にお世話になったり(逆もまたしかり)そういうのが当たり前だった。
ぶっちゃけ性格は正反対、趣味も得意なもんも、好きになる女の子も、みーんな正反対。ついこの間まで俺のほうが背高かったのに、最近成長期らしい愛に軽々と抜かれちまったし、顔のかっこよさも俄然愛のほうがレベル高い。ずるい。
学校での立場なんて俺はノリのいいバンドマンで、まあそこそこモテるけどすぐフられるし、成績は悪いし、まあせいぜい友達が多いぐらいしか取り柄のないバカ扱い。
それにくらべて愛ときたら、成績優秀、眉目秀麗、まあちょっと運動オンチだし歌も下手くそだけど学校一モテる。何故か彼女作らねぇから、もう仏像のように拝む対象にされてて、友達もなんかいるけどよそよそしいのばっかり。学校ではクールっぽいキャラ気取ってるけど、俺といる時だけは素に戻るから、二重人格なんじゃないかなんて噂までされてる。
まあ、つまりだ。俺と愛は幼馴染でそれ以上でも以下でもなかったはずなんだ。(つーかそれ以上ってなに、それ以下ってどうすればなれんの)
なのに、なのにこの状況はなに。
「やめろっつーのまじ、ちょっ、あ、愛!あっ、ふ…ん、」
昼寝をしてた俺の部屋に勝手に上がり込んで(いつものことだから気にしねーけど) 寝てる俺の鼻を摘まんで起こしやがった。なんなんだよ、せっかくの睡眠時間返せ!とか、のんきなこと言おうとベッドから起き上がろうとすると、右腕でベッドに押し返された。寝ぼけてる頭にはこの意味がわからない行動が全然これっぽっちも理解できなくて、青みがかったゆるいパーマの頭をジッと見つめた。すると愛が俺腹の上に乗ってきて、その重さったらまじ、どうかしてるから動けない。愛は無言でなに考えてんのかわかんねーし、なんかだんだん頭も冴えてきたから今の状況が怖くなってきた。恐る恐る「…愛ちゃーん?」と、少しふざけた口調で愛の様子を伺うと、バッ!と顔をあげて俺の目を見つめてくる。
なあごめん、ベッドに175センチ超えの男が二人見つめあってるこの状況、すっげーシュールよ?
なんか笑そうになっても、愛の目の色が深い深い悲しみっぽいものを背負ってるように見えて、空気を読んだ俺も真顔で整いに整った愛の顔を見つめた。すると薄い唇が少し開いて「恋ちゃん、オレ気付いちゃった…」と呟いた。
一体なにに気づいたというんだ、重たいよどけよ、お前俺より背もガタイもあんのに。
そんなことを思ってるときだった。ぐっと顎を持たれて、突然唇にふわりと柔らかいモノが当たった。え?
「んむっ、?!」
キスされてるーーーーー!!
は?謎なんだけど何このシチュエーション、何この展開!重たいから動けない、顎までしっかり固定されてるからキスも拒めない。愛の暖かい舌先が俺の唇を優しく撫でる、あ、ちょ、ダメだって。俺そういうの弱いのに…!ぬるり、と入ってきた舌を拒みたくても体制が不利すぎる。口内をこれでもかってほどに犯された。
「や、めろっつーのまじ、ちょっ、あ、愛!あっ、ふ…ん、」
やべ、変な声でた。やめろと言っても聞かず、むしろもっと貪るように唇に吸い付いてくるコイツにすこし苛立ちを覚えて、ずっと愛の胸を押してた俺の左手を愛の後頭部に回して思いっきり髪をひっぱった、ごめん!痛いよな髪ひっぱられるのって、でも俺のほうが今は痛いよ!肋骨折れそうだよお前の体重で!
やっと離れた愛は、唾液でどろどろになった口を手の甲で拭った。俺も唾液がだらーっと口のはしから垂れるのをごしごしと拭いてやった。なんか、なんか幼馴染(男)に熱烈なキスをされた。なに?は?冗談にしてはやりすぎじゃね?
「…やっぱり、勃ってる……」
愛は自分の息子を見ながらぽつりと言った。いや、いやいやいや、いや、お兄さん、俺ついていけないよ。被害者だよ俺は。ちなみに俺は全然勃ってないよ、そらそうだ、なんで愛にキスされて勃たせなきゃなんないの。
「おい、どういうことだよ。」
責めるような目をして愛を見る。
愛は「恋、」と少し申し訳なさそうな顔をして俺の耳元に口を近づけ、囁いた。
「オレ、インポだったんだ」
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