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衝動
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注意)微エロ
石の壁に着いた。
それは、自分たちが思っていた以上に大きかった。
だから、壁を登って入るのは、到底無理そうである。
ひとまず、茂みに隠れ様子を伺う。
真正面の門には厳重な警備がしてあり、森の民丸出しの俺らの装いでは、入れそうにもなかった。
「どうするよ?デーヴァ?」
壁も門もダメである今、俺に中に入る方法は思いつかなかった。
「どうするって、聞かれてもなぁ。俺だって、わかないから。」
二人して頭を抱えこんでも、ただ腹がなるだけでなんにも出てこない。
空腹時に考えても、しょうがない。
結局、俺らは門をこっそり見れる場所でぐたりと横になった。
というのも、隙が出来るまで待とうということになったのだ。
「あ〜、腹減ったなぁ」
「うるさい。言うな。さらに、減ってくるだろう!」
俺はその辺にあった草をテキトーに引き抜きカインの顔にのせた。
たまたま口に入ったらしく、負けじと俺のほうに草を投げてきた。
まるで、子供の喧嘩だ。
俺らが戯れていると、遠くに居た門番が物音に気付いたらしく、こちらのほうへ徐々に寄ってきた。
まずい。
同時に思った俺らは、近くにあった木に登ろうとする。
だが、小さい木であるために、一人が隠れるのが、やっとであった。
睨み合う二人。
押し合いへし合いの末、結局俺が落とされたのだった。
カインは木上のほうで頑張れとサインを送り、そそくさと隠れてしまった。
よし、決めた。
次、会った時は、一発殴ろう。
そうしよう。
その決意と同時に、後ろから声をかけられる。
「おい、お前ここで何してる?」
当たり前だよな...。
どう答えようか悩む。
そして、出てきたのが...
「え、えっと...ちょっと、道に、迷って...」
我ながら、苦しい言い訳をしたと思う。
もちろん、そんな言い訳を門番が安安と聞いてくれるはずがないと思いきや...
門番は、無理矢理俺の顔を上げさせ、俺の青い目を見た瞬間、たじろいだ。
自分でも、何がなんだかわからなかったが、どうやら助かったらしい。
そして、門番はブツブツと一人ごとを話しはじめる。
門番の一人言は、あまりに小さすぎて聞き取れなかった。
ただ、少し焦りを感じる。
なんなんだ?
少しずつ後退するも、門番の視線が俺をとなえる。
その門番は、不信な目線を向け、俺の姿を上から下までみやる。
「お前は、男だよな?」
確かに女顔であると自覚している。
しかし、こう言われたのは初めてだ。
俺は、怪訝そうな顔をする。
が、その門番は、気にする様子もなく、ただ独り言を続けている。
全く、なんだこいつは。
さっきから、睨んだり、独り言をいったりと…
しょうがないと、隙をついて逃げようとする。
また、視線に捕まる。
「待て。ちょっと、こっちへ来い」
俺の腕を引き、その力に抵抗出来ず、引きずられていった。
そして、連れていかれたのは、門番たちの宿舎であろう場所。
薄暗い場所に大きなテーブルが幾つも並び、酒の匂いが部屋中に充満している。
そして、騒ぐ門番たちの間を抜けてたどり着いたのは、身体の大きな長と思われる男の前だった。
「なんだ、ルオン。急に。」
その男は、いかにも威厳があり、そこら辺にいる者たちを一声で萎縮させそうな迫力を持っている。
「隊長、この少年のことなのですが、どうも、ただの蛮族ではないようで...」
「確かにな。何故、青い目を...」
そんなこと俺が知りたい。
男は、緑の眼でマジマジと俺の瞳を見る。
見下しているような疑るような冷たい目線。
反抗するかのように俺は、その男を睨見つけてみた。
男は、悪い笑みを浮かべる。
「ほほう。中々面白い奴だ。とりあえず、今晩は飯でもやって客室に案内しとけ。」
男は、もういいという具合に手をひらひらと振った。
そしてまたあの力に引きずられていった。
どうやら、敵とは見られなかったようだが、何故そうなったか、よくわからなかった。
目が青いことに関係しているようだが...
その後、客室に案内されパンを二つと温かいスープ、それと水をもらい部屋には俺一人となった。
温かいスープだけ口にし、パンを抱えて、部屋の外に出ようとしたところ、部屋には鍵がかかっていて、開かなかった。
どうやら、あちら側は完全に信用したわけではないようだ。
だが、カインの様子が気になるのも確か。
俺は、コップに入った水を器用に流しこみ、魔法でそれを凍らせ鍵を作り、開けた。
どっと疲れたような気もするが、とにかく、カインのもとへ急いだ。
門番と通った裏道のようなところから、外へ出て、カインのいるはずの木のところに急ぐ。
外は、すっかり暗くなり、月明かりだけが頼りという状態だった。
若干、息を切らせ気味にそこに着くと虚ろな雰囲気をしたカインがそこにいた。
俺は、急いで駆け寄り、声をかける。
「おい!カイン、大丈夫か⁈」
息が浅いカインは、切れ切れにか細い声でいう。
「喉、渇いた…」
「と、とりあえずパンあるからそれ食ってからな」
その言葉に一瞬、焦りを感じたがとりあえず食べ物はあるからそれを食べさせようとカインの口へ運ぼうとした。
しかし、カインはパンなど目に入ってないように俺の首筋に顔を近づけると、酔った時のような熱い吐息を吐く。
おかしな様子に俺は身を硬くした。
耳の近くで、カインの荒い息が聞こえる。
「デーヴァ、すごく良い匂い...デーヴァ...欲しいよ....」
「お前、何言って⁉︎っつ‼︎」
言葉が終わる前に、首筋を突き破るような痛みが全身に走る。
「くっ...はぁ......」
少ししてから、自分がカインに噛まれていることに気づいた。
しかし、一瞬の痛みは、徐々に快楽に変わっていき、甘い熱がカインの噛んでいる首筋から全身へ広がっていく。
頬が紅潮し、自分の息も荒くなっていくのが分かる。
感覚が麻痺して、自分を見失いそうになる。
それ程までに甘い感覚が俺を支配する。
「やめ...ろ!カイン.......はぁっ、あっ。」
カインの胸を押して、抵抗するも甘い熱のせいで上手く力が入らない。
それに、一回り大きいカインに抱きしめられていたら、俺に抵抗する術など、持ち合わせていなかった。
「だから...やめろって....!」
甘い熱は、頭さえも侵しはじめ、意識さえもぼんやりとしてくる。
その快楽だけに支配されたような感覚だった。
そして、牙を抜かれたと同時に意識が軽く飛んだような、不思議な感覚に陥ってしまった。
「おーい、デーヴァ大丈夫か?」
まだ、甘い熱が冷めず、ぼんやりとした意識の中、カインの声が聞こえた。
俺は、まだ熱と貧血から立ち直れず息を切らせ、顔は紅潮したままだった。
「大丈夫な...わけ...あるか....」
途切れ途切れの言葉しか出てこないほどに疲弊しきっていたのだ。
しかし、そんなことも気にしないというかたぶん、わざと気にしないようにしているカインは元気そのものだった。
「ごめんって〜。そういえば、森の民って、普段森から生命力を得ながら生きているけど、森が死ぬとそれが得られなくなって、人から直接もらうことになるって、ばぁばが言ってたような..」
「うるせぇ...かといって、人の血をがぶ飲みすんな...」
カインは、悪びれる様子もなく笑う。
俺は、ツッコむ気力もなく、ただそこで横たわる。
そして、カインがそれを覗く。
不思議そうな顔をしていた。
「てか、デーヴァ顔赤くない?息も荒いし...?」
「お前も、一度味わ...え...ばいい.......」
その皮肉とともに俺の意識は、完全に途絶えたのだった....
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