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渡瀬竜太という男
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渡瀬竜太──
竜とは幼稚園の時からの友達だ。
幼稚園で初めて会った時の事は今でもよく覚えてる。
竜は人と接するのが苦手らしく、いつも一人で遊んでるか先生にくっついて遊んでいた。ちょっと髪が長くて、ひょろっとして小さくて頼りない印象。だから俺がこいつのお兄ちゃんになって遊んであげるんだ!って思ったんだよな。
俺が声をかけると、最初はもじもじしていたものの 慣れてくると沢山笑ってくれた。笑った顔を見たことがなかったから、初めて笑顔を見た衝撃は忘れられない。大袈裟かもしれないけど、本当に衝撃的だったんだ。だって表情筋どうした?ってくらい笑わなかった奴が俺と遊んでて笑ってくれるようになったんだぜ?そんなの嬉しいし可愛いって思うの無理ないだろ?俺は幼心にドキドキと不思議な感じがした。
小学校に上がっても竜太は俺とばかりつるんでいて、他の友達はいないみたいだった。俺がいれば他の奴とも話をするけど、やっぱり自分からは関わろうとはしなかった。
一度だけ、中学に入ってから竜に聞いたことがある。
「竜って俺以外に友達いる? 楽しい?」
ほんと今更なんだけど……今までなんとなく聞けずにいた事。俺だったら一人は寂しいと思うから。友達とワイワイやっていたいと思うから。
余計なお世話なのかもしれないけど、竜ももっと俺みたいに他にも友達作ればいいのに、とそう思ってしまったんだ。
「へ? 友達? いないよ。でも康介が話しかけてくれるし、寂しいなんて思ったことないよ。人と何話していいかわからないし面倒くさい。一人でいるほうが気が楽だし友達なんて別にいらない」
いつもと変わらない顔をして、竜はそんな風に俺に言った。
面倒くさいって……
「そっか……」
自分から聞いておきながら、竜の言葉に俺はショックを受けてしまった。
面倒くさいって……
「そっか……」
自分から聞いておきながら、竜の言葉に俺はショックを受けてしまった。
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