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恋?
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「竜、お前それ……きっと恋してるんだと思う」
「え? 僕が周さんに? ……男同士だよ?」
康介が突拍子も無いことを言い出したと思った僕は可笑しくなって笑ってしまった。
「男同士でもなんでも、好きな気持ちは関係ないと思うよ」
いたって真面目な顔をして康介がそう続けるもんだから、僕は少し考える。このモヤモヤした気持ちが「恋」なのかどうか、考えたところで僕にはわからない。でもなぜだか凄く嬉しそうな康介を見ていたら気持ちが晴れてきた気がしてすっきりした。
今日からまた一週間が始まる──
まだちょっと周さんのことでもやもやするけど、僕はいつも通りに学校に向かった。登校途中に康介と会うのもいつものこと。でも今日は陽介さんも一緒だった。
「竜太君、こないだはゴメンね」
陽介さんは康介を押し退け僕の隣に来ると、酷く気まずそうにそう言った。
「え……っと、何がです?」
「あの……ほっぺに…」
思い出した!あの時の陽介さんの行動には驚いたけど、あの後の衝撃の方が僕にとっては大きすぎて、すっかり記憶から消えてしまっていた。僕は陽介さんに頬っぺにキスをされたんだっけ….…
「俺、酒入るとちょっとキス魔になっちゃうらしい。竜太君、可愛くてついね。あの後、周にベタベタ付き纏われて困ってたみたいだし、あんまりこういうの慣れてないよな……って思ってさ。ほんとごめんな」
僕はそんなこと忘れていたくらいだし、謝られるようなことじゃ無い。
「大丈夫です。わざわざありがとうございます」
「あ!でもね、俺、キス魔って言っても口にはしないよ? 口にキスできるのは大事な人だけ!どんなに酔ってても、他の奴には口にはしない!……これ大事!」
妙なテンションで陽介さんはそう言うと一人で勝手に納得してウンウンと頷いた。
……そもそも大事な人がいるなら、ほっぺにチュもダメなんじゃ? そう思ってすぐ、僕は気がついた。
「もしかして陽介さん、大事な人っているんですか?」
陽介さんはイケメンだからきっと可愛い彼女がいるんだろうな。だからこんなことを言っているんだ。
どんな人だろう? と思う間も無く陽介さんは元気にこう言った。
「いるよ!圭ちゃん 」
「えーーー⁈」
「えーーー⁈」
さっきまで黙って聞いていた康介も、驚いて僕とハモるように雄叫びをあげた。驚いている僕らをよそに、陽介さんは用事があるからと言いさっさと行ってしまった。
陽介さんの発言に僕と康介はびっくりして顔を合わせる。
「康介……知ってたの?」
「兄貴がキス魔なのと、彼女がいるとは知ってたけど、いやまさかそれが圭さんだったなんて……」
陽介さんの恋人があのカッコいいボーカルの圭さんだったということも驚きだけど、そもそも男同士だというのに何の躊躇いもなく僕らに話す陽介さんに驚いてしまった。
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