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俺のものになれよ
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お昼休み──
今日も僕は康介と一緒に屋上で過ごす。
「周さんと修斗さんてさ、あんなに目立つのに今まで学校で見かけたことなかったんだけど……とくに周さん?」
「ああ、あの二人って学校休みがちみたいだよ。てか、サボりだよな」
風貌からして真面目とは程遠い二人だから、納得できる。そんな話をしていたら屋上の扉が勢いよく開き、大きな影がこちらに向かって歩いて来た。 太陽の光が眩しくてよく見えなかったけど、それはすぐに周さんだとわかった。周さんの後ろから修斗さんが走って来るのも見え、何事かな? と思って見ていたら真っ直ぐ僕らの方へ向かって来るから、ますますわけがわからない。
「やっと見つけた! 竜太! 俺と一緒にちょっとこっち来い!」
周さんに強引に腕を掴まれ、僕はグイグイと引っ張られる。
「え? 何ですか? 待って……ちょっと! お……お弁当、まだ途中……」
食べかけのお弁当と康介を置いて、不本意ながら僕は周さんに連れられ屋上を後にした。
周さんに手を引かれ連れて来られた場所は、体育館裏にある使われてない教室。こんなところに教室があったことすら知らなくて、僕は慣れた手つきで鍵を開ける周さんを見ながら少しワクワクしてしまった。
「ここな、元軽音部の部室。軽音部なくなっちまったから、誰も来ないんだ」
周さんは僕の手を掴んだままそう言って、その元部室とやらに入って行く。ドアを閉めると僕の方を振り返り、不安そうな顔をして「俺の事が怖いか?」と聞いてきた。
周さんの顔が、近い……
「怖くはないけど……ドキドキするんです」
怖いとは感じない。でもドキドキしてしまうのが嫌だった。それは僕にとって初めての事で、どんな感情なのかよくわからなかったから……
周さんの手がゆっくりと僕の頬を触る。その手が髪を弄り、僕の前髪を上げた。
「ほらやっっぱり! お前、髪型もうちょっとなんとかしろよ。……せっかくいい顔してんのにもったいないじゃん」
急に大きな声で言うもんだから びっくりしちゃった。周さんは僕の髪を指でくるくる弄りながら見つめてくる。……あんまり見られるとなんだか恥ずかしい。
「お前、もっと自信もてよ。俺が保証する。なあ……よく顔見せて」
髪をくるくる弄っている周さんの手が、また僕の頬に触れた。胸がドキドキうるさくて、どうしても恥ずかしくて俯いてしまう……
「竜太……」
周さんの手が僕の頬を挟み、無理やり顔を上げさせられた。あ、キスされるんだ……とわかり、僕はそれを受け入れるように自然と目を瞑る。周さんは優しく唇を重ねてくれた。
康介の言っていた通り、僕はきっと周さんに恋してるんだと思う。
驚いたけどキスをされてもちっとも嫌じゃないし、むしろ嬉しいと思ってしまう。
ふと唇が離れたから恐る恐る目を開ける。周さんは真剣な顔をして「俺のものになれよ……」と僕に言った。
「俺のものになれよ……」
「どういうこと?」
思わず思った事をそのまま口に出してしまった。周さんはぽかんとして僕を見下ろしている。
「ど、どういうこと? って、言葉のまんまだよ!」
周さんは顔を赤くして少し焦っているように見えた。なんだか意外でちょっと可愛い。
「周さんて、もしかして僕のこと……好きなの?」
「………悪いかよ」
益々周さんが赤くなるから可笑しくなっちゃう。それに周さんも僕のことが好きなんて、嬉しくて笑ってしまった。
「僕も多分、周さんのこと好きです。正直あまりわからないんだけど……でもこんな気持ち初めてだからきっと好きなんです」
周さんは何やら口をパクパクさせたかと思うと、僕のことをぎゅっと強く抱きしめた。
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