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周のとある1日②
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あの時の竜太とのキスを思い返しながら、俺は屋上でサボっている。手摺にもたれ、なんとなしにグラウンドを見下ろすとどこかのクラスがちょうど体育の授業をやっていた。男子校だから野郎ばっかでダラダラしている。先生もあまりやる気がないのか、真面目にやってない奴らが少し離れたところで遊んでいるのが見えた。
「あ……えっと、康介か?」
マラソンなのか、これからトラックを走る様子の数人の中に康介の姿を見つけた。てことはきっと近くに竜太がいるはず……そう思って目を凝らして竜太を探した。
ピッという先生の笛の合図でそこにいた数人が一斉にスタートする。そのなかで一歩出遅れてスタートした竜太を見つけた。想像はしていたけど、鈍臭い走りの竜太に思わず笑ってしまった。運動が苦手なのか、走るフォームからちょっと可笑しい。あんな走り方じゃ遅いだろうな、と思う間も無くあっという間にみんなから置いていかれる。それでも一生懸命の走る姿を見て、俺は心の中で声援を送った。
「あっ!!」
竜太が派手に転び、思わず声を上げてしまう。蹲ったままの竜太が心配で思わず下に下りようかと思ったところに、康介が駆け寄るのが見えて思い留まる。そもそも俺が行ったところで何なんだ? って話だ。
竜太は康介に肩を借りながら校舎の方へ消えていった。俺もそれを見届けてから屋上をあとにした。
保健室に行くだろうと俺は急いで校内に戻る。竜太のことが心配なのも勿論だけど、康介と一緒なのが何だか気に食わない。ここから保健室のある第二校舎は少し遠いから、間に合ってくれよと願いながら廊下を走った。
保健室の扉を勢いよく開ける。その音に驚いた保健医の高坂が声を上げた。
「うぉっ!……びっくりしたぁ。なんだよ橘かよ。保健室は休憩所じゃねえぞ!昼寝ならよそ行け」
「昼寝じゃねよ! あれ? 竜太はどこ?」
ざっと見渡してもここには高坂しかいなさそう。
「竜太……? あ、渡瀬くん? さっき教室戻ったよ。へえ、お前ら知り合い? 渡瀬くん一年生だろ?」
「なんでもいいじゃんか、うるせえな。あいつ怪我どうだった? 大丈夫なのか?」
何でお前がそれを知ってるんだと言われたけど、どうなんだ?と詰め寄る俺に高坂は溜め息をつきおしえくれた。
「擦り傷は大丈夫そうだけど、足首捻ったみたいで痛そうだったな。まあでも友達が手を貸してやってたから大丈夫なんじゃないか?」
友達って康介か……
康介って、なんかいつも竜太のそばにいないか? 何なんだ?
「先生、俺眠いから放課後までベッド貸してね」
「はぁ? ふざけんなよおまえ、やっぱり昼寝しにきたのかよ授業出ろ!」
ヤキモチなのか、俺は康介に対してモヤモヤして腹が立ってきたから、落ち着くまで保健室で仮眠をとった。
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