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康介が見た本性
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新学期──
俺はいつもより早く目が覚め、気分良く登校した。勿論遅刻だってしていない。
久しぶりだけど、いつもと変わらない教室。久し振りのメンツ。
ただ一つだけ、いつもと違った光景があった。
今日、俺らのクラスに転入生が来た。背が高くてかなりのイケメン、そして圧倒的な存在感。今まで出会ったことのないタイプ。正直言って気圧されそうだった。
でも見かけと違って気さくないい奴みたいで、あっという間にクラスに馴染んでいる。俺も皆んなと一緒に志音とお喋りを楽しんだ。
明るくて楽しい奴、なんてその時は思ってたんだけどな……
放課後、俺はサッカー部で汗を流してから少し遅目の下校になった。帰り仕度をして外に出ると、門の所に志音が立っていた。
こんな時間に誰か待っているのだろうか? 部活やってる奴でも待ってんのかな。
「志音、どうしたの? 誰か待ってんの?」
聞くと、俺を待ってたと志音が言う。
「え? マジ? ごめんな、先に言ってくれてれば急いで支度したのに……」
俺をわざわざ待ってた?……でもなんだろう?そこにいる志音は昼間のあの爽やかな笑顔じゃなく、なんだか別人のように見えて俺はちょっと緊張した。
「何?どうした?」
志音に睨まれたような気がした。俺が戸惑っていると志音は小さく溜め息を吐く。
は?
物凄く嫌な感じだ。俺、こういうの凄え嫌だ。
「あのさぁ、康介君……君は竜太君のなんなの?」
「……?」
なんなの?って、何? 竜は俺の友達だけど?そんなの聞かなくたって見りゃわかるだろ。
「へ? 友達だよ。幼馴染み……」
志音は俺を見てふふっと笑う。
だから!なんなんだ!さっきからなんかムカつく!
「竜太君、親しげに話すの君にだけだったからさ、何か特別な関係なんじゃないかと思ってたんだよ。そっか……幼馴染ね。良かった……ならさ、関係ないよね。俺が何しても」
志音はニヤリと笑い俺を見る。意味がわからなくてポカンとしていると志音は話を続けた。
「竜太君ね、凄くいいよね。どストライクすぎてびっくり!一目惚れってやつ? だから彼、俺の物にするから君は邪魔しないでよね…… てか、邪魔したらぶっ潰すからお前」
言うだけ言って、志音は満足そうに帰っていった。
言葉が出ない……
えっと、志音は竜がどストライクでタイプだから? 竜を落とすから俺に邪魔すんなって言ってきたのか?
へ? 宣戦布告しようと俺を待ってたの?
マジかよ。布告されても困るっつうの……
てか、ちょっと待って? 志音ってこんな奴だったの? 昼間のあれは猫被ってたんか?
え……やだ、怖い怖い。あんなに表裏違う奴、俺初めて見たよ。
これは竜に伝えるか?
でも竜は志音に全く興味持ってないし、周さんしか見えてねえから問題ないか。何しても関係ないよね、とは言ってたけど、荒っぽいことはしない……よな?
とりあえず俺は注意して様子を見ることにした。
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