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そもそもの原因は…①
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周さんの態度がショックで、教室に戻ろうと思ったけど涙が出そうになってくる。
せっかく会えたのに。なんだよ……酷いよ。
僕は教室には行かず保健室へ向かった。
「あれ? また竜太くんだ。やっぱりどうかしたの?」
不思議そうに高坂先生が僕を見て聞いてくる。
「………… 」
なんて言ったらいいのか、少し考えてしまった。返事に困っていると、高坂先生は「休んでく?」と優しく言ってくれたので、黙って頷きベッドに潜る。先生はしばらくは何も言わずにそっとしておいてくれた。
周さんと会えなくなってから何日過ぎたのだろう。僕から何度も連絡をしてたのに返事すらしてくれなかったのは周さんだよ? それなのに何であんな風に言われなきゃいけないんだよ…… 考えれば考えるほど辛くなってくる。なにか気に触ることでもしちゃったかな? 全然心当たりもないし、どうしたらいいのかわからなかった。
「橘と何かあったの?…そんな泣きそうな顔しちゃってさ。喧嘩でもした?」
カーテンの向こうから高坂先生が小声で僕にそう聞いた。
喧嘩……ああ、そういえば康介のことも修斗さんに聞きたかったんだっけ。今度は周さんの事で頭がいっぱいになってしまって康介の事を忘れてた……
「竜太くん? 大丈夫?」
返事がないからか、心配そうにまた高坂先生が声をかける。
「あ! ごめんなさい。大丈夫です。喧嘩じゃありませんから……」
別に僕と周さんは喧嘩をしたわけじゃない。しばらく会えなくなって、連絡もしてくれなくなり姿も見えず…… 寂しくなって探して会いに行ったら、少し怒った周さんに追い返されただけだ……
理由がはっきりわかっている「喧嘩」の方がよっぽどいいや。
高坂先生はそれ以上何かを聞いてくることはなかったので、僕は布団をかぶり瞼を閉じた。
**********************
修斗side
なんでこうなったんだ?
なんで俺は康介君と喧嘩してんだ?
屋上でいつもの場所で横たわり、一人ぼんやりと考える。
……まあどう考えても俺が悪いのはわかっている。
尻ポケットの携帯が小刻みに震えた。誰だろう? 康介君だったらすぐに謝らねえとな……なんて思ったけど、画面を見てイラっとした。
周からのメール『今すぐに教室に来い!』……何様だよ! そもそもの原因はこいつがおかしな事を言ってきてからだ。何を偉そうに教室に来い! だよ。クソが!
シカトしてもよかったんだけど俺も言いたいことが山ほどあるし、急いで教室に戻ることにした。
教室ではさっきまで爆睡していたはずの周が起きていて、見るからに不機嫌そうな顔をしている。俺の姿を見るなりズカズカと不機嫌オーラ全開で俺の所まで歩いてきた。
「何やってんだよ! 竜太がここまで来たぞ! ……そいつらに絡まれてるし!」
横にいたクラスメイトを指さし文句を言ってる。
もう、知らねえよ……
見るとそいつらは顔に痣を作っていた。大方こいつらが竜太君に軽くちょっかい出したんだろうとわかるけど、周に殴られるほどの事をしたんか? きっと、ただ教室に来た竜太君と喋っただけなんじゃないの? そのくらいのことでブチ切れて手を上げて……竜太君きっと驚いただろうな。
ここ最近の周も尋常じゃないくらいイラついていた。俺も周もイラつき過ぎだろ……
「で? それはわかったけど竜太君はどうした?」
「追い返したに決まってんだろ!」
当たり前のようにそう言う周に呆然とする。こいつは馬鹿なのか? そんなの可哀想すぎるだろ。竜太君の心情を思ったら胸が痛んだ。
「竜太君、お前に会えないし連絡も取れないって寂しがってたのに……そんな態度はあんまりじゃね?」
どんだけ勝手なんだよ。竜太君は事情知らないんだから不安になるに決まってるだろうが。
「せめてメールの返事くらいしてやれよ!」
俺が言うと、少しは気がついたのか周は元気なく「うん…」と頷き また自分の席について突っ伏して寝始めてしまった。
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