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「灯真さん?」
主の部屋をそっとあけて、声をかけたとたん、灯真はものすごい勢いで駆け寄ってきて
雫に抱きついた。
雫の主、灯真は盲目だが、自分の部屋の中ならば、まるで見えているかのように
行動することができる。
「雫、治ったのか?」
「うん。もう大丈夫。」
雫がこの屋敷に来て、すでに1年以上が経過していた。
灯真17歳、雫15歳。今ではふたりはまるで、産まれた時から片時も離れたことが
なかったように、常に一緒に行動していた。
灯真のかたわらにはいつも雫がいて、盲目の彼のためになにくれとなく世話を焼き、
花の開花を教え、空の色を知らせ、その白い手を導いて暮らしていた。
3週間前、灯真が風邪をひいた。
もともと体が弱く、一度寝込むとなかなか治らない主を、雫は献身的に看病した。
ほとんどつききりで世話をして、ようやくひと心地ついたところで
今度は雫のほうが倒れた。
次は自分が看る、という灯真に、ウイルスが同じとは限らない、
またうつしあいになるからと、お抱え医師の長瀬は雫に近づく事を禁じた。
灯真が2週間、雫が1週間寝込んで、今日、ようやく長瀬のOKが出て、
雫が灯真の部屋をたずねたのだ。
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