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長瀬は二人を抱えるように立たせると、
「とにかく二人とも、シャワーだ。」と、バスルームに引きずっていった。
汚れた衣類をすべて袋に入れ、体についた血を流し終えると手早くかわりの
衣類を着るように指示された。
灯真を先に部屋に戻そうとする医師に、彼は頑として聞き入れず、
長瀬とともに雫のしたことを聞いた。
「通報があまり遅れると怪しまれる。君の痕跡を消すのは無理だ。
すぐに身を隠しなさい。」
長瀬の言葉に雫は驚いた。
「僕、自首します。ちゃんと警察にいかなきゃ。」
すると長瀬は、怖い目をして言った。
「動機はどう、説明するつもりだ。灯真がされたことも言わなくてはならなくなる。」
「そ。それは・・・・。」
「世間はおもしろおかしく騒ぎ立てるだろうね。」
「・・・・・。」
「わたしは灯真を守りたい。」
それは雫も同じだった。深く頷く雫を見て、長瀬は続けた。
「わたしの友人が田舎で農業をやってる。たぶん彼なら、君を匿ってくれるだろう。
手紙を書くから、最小限の荷物を用意して。すぐだ。」
「僕も行く。」
灯真の言葉に二人が目をみはった。
「何を言ってるんだ。君は無理だよ。」
「行く。雫と離れたくない。」
灯真は手探りで雫の腕を探し当てると、ぎゅっと握りしめた。
「あの人を刺したのは僕のためなんだろ。雫が逃げるなら僕も逃げる。」
長瀬は眉間に深く皺を刻んで天井をあおいでいたが、
「わかった。ではすぐ準備をしよう。」と言った。
「ありがとう、先生。」嬉しそうに微笑む灯真に、
「君の着替えを取って来るから、ここで待っていなさい。」と声をかけ、
雫に目配せすると、バスルームから出た。雫もすぐに、
「じゃ、僕も一度部屋に戻るから、待ってて。」と言って長瀬を追った。
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