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「これじゃ、なぎさちゃんとかわんねえじゃん。
なあ。もうちょっと声とか出してくんないかな。」
そういわれたとたん、
ーーーーーー雫の声、聞かせて? 灯真の囁きがふいによみがえった。
まるで封印が解かれたように、灯真との思い出が次々と胸にあふれた。
ーーーーーー雫の声は信じる。 しよう、雫。 そう言って甘えてきたときの。
へたくそ。そう言って笑ったときの。灯真の顔。
僕のすべてと思って来た。灯真の白いからだ。銀色の髪。ながい睫毛。
・・・・しずく?・・・しずく?・・・
雫を求めて手を伸ばす灯真の姿が浮かぶ。さまよう細い指。
押さえこんでいた激しい哀しみが堰をきったように溢れ出して来た。
しずくと一緒に行く。離れたくない。そう言ったひとを置いてきた。
もう二度と、逢えない。触れられない。声も聞けない。
灯真。灯真さん。涙が零れる。
あとからあとから流れ出してシーツを濡らした。
ーーーーーーずっとそばにいて。どこにもいかないで。
どこにもいかない、そばにいるって、約束したのに。喉の奥から嗚咽が漏れた。
僕は・・・・嘘つきだ。大嘘つきだ。
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