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ハヤシライスな気分
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寮に着くと、松崎は「名残惜しいですが暫しの別れ...っ!おやすみなさい!」と言うと、涙を流して走り去った。
あいつ、毎回こんなんやってるよな。
藤森も「おやすみなさーい」と言ってあくびをしながら手を振ると、階段を上がっていった。
部屋に入ると、会長はネクタイを緩ませる。
「...今日はごめんね」
「今日...?」
今日に限らずいつもだろ。
俺はそう言おうと思ったのを抑える。
「今日、教室で手を伸ばしちゃっただろう?人前であんな事しちゃ駄目なのに。」
...ああ、アレか。
会長が謝る理由に思い当たる節が多すぎて忘れていた。
「別に気にしてないですよ。」
「敬語!」
「...してないよ。」
会長はいつものさわやか笑顔とは程遠い、へにゃっとした笑顔を向けると、俺の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
「触られるの嫌なのかと思って、傷付いてしまったよ。僕は。」
「嫌じゃない...かい...薫に触ってもらいたいし。」
ん。違うな今の。
触ってもらいたいというより普通に接してもらいたい、だな。
会長はいきなり立ち上がると、「さっ先にお風呂に入ってくるよ!」と言って風呂場に行ってしまった。
...にしても顔が赤かったな。
熱でもあるんじゃないのか?
俺はぐしゃぐしゃと撫でられボサボサになった髪のまま、机に向かった。
どっかの誰かさんと違って、俺は真面目に課題をやらないと点数がとれないのだ。
「宗吉ー起きて。夕飯食べないのかい?」
「んんう...」
どうやら寝てしまったらしい。
目を開けると、目の前に会長の顔があった。
「うをっ!?び、びっくりした...」
「ふふふ...顔、寝跡ついてるよ。」
そう言うと、俺の頬を撫でた。
...夕飯
そう考えた途端、俺の腹が鳴った。
「......食べる。」
「じゃあ行こうか。まだ僕たちの分、残しておいてくれてるみたいだから。」
そう言いながらドアを開ける。
そしてまた手を差し伸べた。
「触られるの、嫌じゃないんだろう?もうみんな部屋に入ってるし。ね、いいだろう?」
そう言った会長は、いつものさわやかスマイルだった。
......はあ。
「食堂までだからな。誰か来たらすぐ放す。」
「ふふふ、嬉しいな。」
会長は俺の伸ばした手をキュッと握ると、引き寄せた。
「今日の夕食はハヤシライスな気がするんだ。」
「何で?」
「僕の希望さ。」
結局今夜のメニューはカレーだったが、会長が「ハヤシライスかと思ってたよ。」と呟くと、食堂のおばちゃんはハヤシライスを作って出した。
「ありがとうございます、御婦人。」
そう言うと美味しそうにハヤシライスを平らげた。
世界は会長中心に回ってんのかと思った瞬間だった。
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