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副会長は恨まれている
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#?side
夜の10時過ぎ頃
寮の廊下で、洗濯カゴを持った生徒会長が前方から歩いてくる。
「やあ、おやすみ。」
「......おやすみなさい。」
彼も挨拶を返し、すれ違った。
そして彼はある部屋の前で立ち止まった。
そして、耳を側立てた。
中から吐息混じりの声が聞こえてくる。
「...ん......会長の匂い...」
声の主は副会長の結城宗吉だろう。
彼はドアから離れると、そのまま廊下を進んで自室に入った。
ドアを閉めると、彼の中に、ふつふつと黒い感情が沸き上がった。
......結城...宗吉.........っ
彼は憎んでいる相手の名前を心の中で呟いた。
「いつまでそんなとこに突っ立ってんの?なーべちゃん」
彼はルームメイトに声をかけられ、ハッと我に返る。
どうやらドアの前にずっと立ったままだったらしい。
「顔怖かったよ?なんかあったの?」
「......別に」
彼はルームメイトの問いかけに素っ気なく答える。
ルームメイトは可笑しそうにクスクスと笑うと、座っていたベッドから立ち上がり、まだ立っている彼の元へ近寄った。
「そんなに結城宗吉が憎い?」
「.........」
ルームメイトの問いかけに、彼は答えなかった。
いや、答えられなかったのだ。
憎い、と言ってしまえば、自分が結城宗吉に何をしてしまうかわからないから。
黙っている彼を見て鼻で笑うと、
「だったら俺に任せてよ。」
そう言ってルームメイトは彼に口づける。
彼は身動ぎもせず空虚な瞳でルームメイトを見つめると、ルームメイトはまた可笑しそうに笑った。
「勘違いしないでよ?俺はなべちゃんのことが好きなんじゃなくて、結城宗吉が嫌いなの。」
「わかってる......俺もお前、好きじゃない。
俺が好きなのは」
そこでまた口を塞がれる。
ルームメイトは彼の口内を掻き乱すと、唇を離した。
そして彼の唇に、自身の人差し指を押し付けた。
「五月蝿い。喋りすぎだよ、なべちゃん。」
そう言って彼を睨み付けた。
彼はルームメイトからキスされることに慣れてしまっていた。
最初にされたときも、抵抗しようとは思わなかったが。
しかし未だに、ルームメイトが何故自分にキスをしてくるのかわからなかった。
好きでもいないのに。
ルームメイトは彼の頭を乱暴に掴むと、彼の耳に唇を寄せた。
「いいこと思いついちゃった」
いつものように、甘い声で囁くと、そのまま彼の耳を噛んだ。
さすがの彼も顔を歪めた。
痛みにではない。
ルームメイトの発した言葉にだ。
彼は、彼のルームメイトがよく分からない。
だが、
ルームメイトの言う「いいこと」が、本当に「いいこと」ではないのだということだけは感じていた。
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