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気になる
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「…西園寺が告白してきたのはわかった。でも……なんで俺がライバル視されてんだよ!」
完全にとばっちりだろ。
てか宗吉とは何もしてないって、いや、シてないけど、変なことはされてるからね、俺。
会長は「ふふ、とても嫌そうだね、宗吉。」と微笑む。
「僕達はずっとベッタリだからね。そう思われてもおかしくないよ。」
好きで一緒にいるわけじゃないし!
むしろベタベタしてくんの会長だし!
とにかく、友達の西園寺に嫌われることだけはしたくない。
俺は、立ち上がって飲み物を取りに行こうとしている会長を見上げた。
「じゃあやっぱり薫と校内であんま一緒にいない方が良いよな。」
これ以上誰かに恨まれても困る。
会長は500mlペットボトルのミルクティーを飲み干すと、唇をペロリと舐めながらこちらを見た。
「それは嫌だな。宗吉は僕の大切な幼馴染みだし、僕は宗吉が大好きだからね。」
だったら俺の立場を考えてくれ。
俺は大きな溜め息を吐くと、ベッドに寝そべった。
他の奴らみたいに好き好き言えば良いにして貰えると思うなよ…
横になると、ギシ、とベッドが沈む。
会長が座ってきたようだ。
「そんなに僕に好かれるのは、嫌?」
そうたずねてきたので顔を上げると、少しハッとする。
そこには、今にも泣き出しそうな顔をした幼馴染みが一人いた。
いつもみたいにさわやかに笑っているのだろうと思っていたのに。
なんで...そんな顔してんだよ......
俺は黙りこむ。
嫌...じゃない。
人に好かれて嫌なわけない。
俺が黙っている時間が長いほど、会長の表情が強張っていく気がする。
何か言わないと、と思って口を開いた。
「...嫌じゃない」
自分でも思ったより小さな声で呟く。
......
その言葉に他意はなかったのだが、会長は柔らかい微笑を浮かべている。
何か勘違いしてないか...?
なんだよこの甘い雰囲気......
あー...またなんか気分が変だ。
俺はそれを拭い去ろうと、息をつく。
「...けど、迷惑だな」
親衛隊とか、松崎とかな。
俺がそう言うと、会長は
「正直すぎていっそ清々しいよ。」
とふふふ、と笑った。
もう元に戻ってる。
冗談が過ぎるぞまったく...
それにしても西園寺に告白されて、会長は気になっているみたいだった。
会長が西園寺のことを好きになるのは、ありえる。
西園寺は、会長がいなければ学園内でも普通にモテていたであろう顔立ちだし。
性格良いし。
家柄だって会長と釣り合う位だし。
惹かれてもおかしくない。
俺がほんやりと考えていると、スッと白くて細長い指が、俺の眼鏡をつまみ上げた。
「眠いんだろう?掛けて寝ちゃ、だめだよ。」
またそれか...
「...まだ寝ない。考え事してただけ。」
「そうなの?...あんまり考え込まないようにね。
宗吉、昔から考え込みすぎてしまう傾向があるから。」
会長はそう言って俺の頭をふわりと撫でると、立ち上がって眼鏡をテーブルに置いた。
「...ああ」
その背中に、ポツリと呟く。
考えすぎるな、って
会長のことなんだが...
なんて言ったらまたからかわれるな。
最近の会長は本当におかしい。
...でも、最近の俺もおかしいのかもしれない。
会長のことが、気になるなんて。
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