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愛城学園文化祭
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我が愛城学園の文化祭は、2日間行われる。
1日目は校内発表
2日目は一般発表
そのあと片付けをして、フィナーレとなる。
俺は部活とクラスの出し物が両方あるが、部活のほうは、当日、後輩がほとんどやってくれるので、当番は一度だけだ。
基本どこの団体も2時間おきに交代するだろう。
1日目の最初の2時間がクラスの出し物で、次の2時間がクラスの宣伝。
残りの2時間は西園寺に誘われたので、西園寺とまわることにした。
2日目は最初にクラスで次に部活、そして最後の2時間は…
菅谷と回る!!!
ああもう楽しみすぎて吐きそうだ。
今、講堂の舞台袖ということも忘れて吐きそうだ。
「あー…吐きそう……」
俺が冗談混じりにそう呟くと、藤森がニヤニヤしながら、「へぇ〜結城先輩も緊張するんすね〜」と言ってからかってきた。
生徒会は早く来てオープニングの準備をしている。
俺は顔をしかめて答える。
「違う。別に緊張なんてしてないだろ。」
「ホントっすか?ま、フィナーレの司会で俺の足引っ張んないでくださいよ。」
本当、こいつ後輩とは思えないよな。
偉そうすぎて。
隣に居た会長は、ふふ、と笑うと、
「大丈夫だよ。宗吉は出来る子だからね。」
と言って頭を撫でてきた。
少しドキリとする。
な、なんだよ…びっくりするだろ……
「そうっすよねぇー!いやぁ、出来るコ、出来るコ。」
そう言って藤森まで撫で始めた。
…くそっ!!
馬鹿にしやがって!!!
ってあれ。
「馬鹿といえば、松崎の奴どこいった?」
「何で馬鹿って単語が出てきたか分からないけど、さっきからあそこの隅でいじけているよ。」
馬鹿といえば松崎、というところを綺麗にスルーした会長は、幕に包まりながら溜め息を吐いている松崎を指差した。
…珍しい
俺が会長に撫でられていたら、瞬時に俺に飛び蹴りしてくるかと思っていたのに。
俺と会長が首を傾げていると、藤森はニヤリと笑って松崎に近づいていった。
「松崎先輩、オレ聞いちゃったんすけどー…
先輩の衣装だけ丈短めらしいですねー?」
松崎はビク、と肩を揺らした。
更に藤森は続ける。
「しかもニーハイでツインテールって聞きましたよー??
さぞかしカワイイんでしょうねぇー?」
そう言って藤森は松崎の頬をつついた。
松崎は怒ったのか照れたのか、顔を真っ赤にして藤森を睨んだ。
「お、俺は嫌だっつったんだよ!!なのにクラスの奴らが無理矢理…っ!せっかく俺が指揮してやったのに恩を仇で返しやがって!!」
それは仕返しなのでは?と俺と会長は顔を見合わせた。
そして今度は、俺を睨みながら喚いた。
「どうせ心の中でほくそ笑んでんだろ結城ィ!?俺が如何わしい格好をしている間に会長とイチャコラする気なんだろ、このゲスの極み!!」
ゲスの極みって……
俺は呆れながら返す。
「そんなわけないだろ…つかメイド喫茶なんだから仕方ないんじゃないのか、そういう衣装。お前が言い出したんだし。」
「俺は自分が着るなんて考えてなかったんだよォ!!」
「…アホだろお前」
「うるせぇ!!」
「結城先輩、松崎先輩がアホなのは今に始まったことじゃないっすよ」
「うるせぇ!!!」
松崎がギャンギャン喚いていると、しばらく静かにしていた会長がふふ、と笑い出した。
「まあまあ、松崎くん。そんなに怒らないで。きっと似合うよ、メイドさん。」
「かっ薫会長までからかってるんですか!?」
松崎は涙目で会長を見つめる。
会長は松崎のほうへ近づくと、松崎の顎をクイ、とあげた。
「違うよ。君のメイドさん、楽しみにしているんだ。だってきっと…可愛いからね。」
そしてさわやかキラースマイルをお見舞いすると、松崎の顔は爆発した。
…やっぱ会長は強いな。
俺が感心していると、藤森が肩をぶつけて、耳元で呟いた。
「松崎先輩のメイド姿とか、これから一生ネタにできません?」
そう言ってニヤリと笑った。
そして藤森はハミングしながらマイクの準備をし始めた。
「それでは、愛城学園文化祭を開催します。」
会長は壇上でそう言うと、舞台袖から覗いている俺にそっと微笑んだ。
…ように見えただけ。
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