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文化祭day1:メイド松崎
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残り2時間は、メイクを落として制服に着替え、西園寺と回った。
西園寺は演劇部の公演があったため、クラスの出し物を手伝えないことを気にしているようだった。
それって、好きなひと(会長)がクラスの出し物をやってるからだったりして…とか考えてしまった。
うわ…捻くれてるな、俺。
頭を抱えた俺を、西園寺は不思議そうに眺めている。
「結城、なんかヘンだよな、昨日くらいから。」
「えっ…そんな事ない。」
「生徒会とかで疲れてるんじゃね?休めよ、たまにはさ。」
な、なんでそこで生徒会が出てくるんだ!
やっぱ西園寺、会長のこと…!?
って!ただの親切心かもしれないだろ!?
しっかりしろ宗吉!!
「ほ、程々にやる、から。」
俺は適当に流すと、先ほど買ったフランクフルトを頬張った。
西園寺はじっと見てきたが、諦めて顔を正面戻した。
3階を見て回ろうとすると、階段の踊り場まで列を作っているクラスがあった。
うちのクラスじゃないけど…何だ?
俺が覗こうとすると、西園寺が「ここ、メイド喫茶のクラスだろ。」と言った。
メイド喫茶…って
松崎のクラスだ!!
そういえばこの時間帯は松崎の当番だった気がする。
俺は「面白そうだから行こう」と西園寺を誘って列に並んだ。
やっと席が空いたのか、教室に通される。
出迎えてくれたのは、もちろんメイド。
もともと可愛い男子だったのか、かなりクオリティが高い。
店内の装飾もプロ顔負けの出来栄えで、さすが松崎が凝っただけあるな、と感心していた。
「おかえりなさいませ、ご主人様〜!どなたかご指名はありますか?」
「俺はないけど…結城はある?」
そう言って西園寺は俺に目配せする。
「松崎って…いるか?今」
俺がそう尋ねると、メイドは「あぁ…」と苦笑した。
「居ますけど…まつにゃんは1番人気だから空いてないと思います…」
「1番人気!?」
俺が声を上げると、メイドは続ける。
「そうなんです〜!
あっ!でもでもっ副会長さんなら特別に呼んできますね!」
そう言ってパタパタと盛り上がっている席へ駆けていった。
…松崎が1番人気……
この学校は相当飢えてるんだな…
俺が苦笑いしていると、向こうから赤髪のツインテールをなびかせ、可愛らしいメイドがやってきた。
鼻筋が通っていて、目元が愛らしく、化粧をしっかりしているからか、男子生徒という感じが全くしない。
なんだ、松崎より可愛い子がいるじゃないか。
この子がNo.1だろ。
西園寺も「めっちゃ可愛い!」と感嘆している。
あれ、でもそれじゃダメだろ。
松崎のメイド姿見て笑おうと思ってきたのに。
赤髪のメイドは俺たちの席に来ると、眉間に皺を寄せた。
あ、愛想が無いのか。
「おかえりなさいませご主人様!?」
そして喧嘩腰で言われた。
なんか腹立つが穏やかにするんだ、宗吉。
「あの、松崎を呼んでもらったんですけど…」
俺は愛想笑いをしながらそう尋ねる。
すると赤髪のメイドは、ますます眉間の皺を深くした。
「…俺だよ。」
「え?」
??
おれ??
つかどっかで聞いたことある声だな…
メイドは舌打ちをすると、テーブルに勢いよく手をついてこちらを睨んだ。
「俺が松崎だっつんてんだろ!ゲスメガネ!!」
…………
えっ
「はああああッッ!?」
俺は思わず叫ぶ。
なんと、目の前にいる赤髪のツインテール、フリフリミニスカートのニーハイメイドは、この学園の生徒会・会計だった。
俺が唖然としていると、松崎は顔を赤くして怒鳴った。
「結城…っ貴様っ俺の破廉恥な姿を見て変な想像しに来やがって…っ!この変態が!!」
「違うわ!笑いに来たんだよお前を!!」
「じゃあさっさと笑ってとっとと出て行け!!」
「………」
「おい、どうした…さっさと笑えよゴラァ!」
…いやいや、笑えないだろ。
ネタメイドだと思ってきたらガチメイドだったんだぞ。
つか、普通に可愛いし。
「…ま、松崎……」
「な、なんだよ!」
「…お前すごい可愛いぞ。」
「〜〜〜〜っっ!!!」
松崎は顔を真っ赤に染めると、涙目になって俺を睨んだ。
「…結城っ!ぜっっってぇ許さねぇからな…っ!!!」
そう言って、ズンズンと戻って行ってしまった。
いや、悪い。本当に可愛い以外のコメント出てこなかったわ。
西園寺も笑いながら「会計くんってあんな可愛いかったんだな」なんて言っている。
藤森はあの松崎を見てどう思ったんだろうな、なんて考えながら、最初のメイドに飲み物を注文した。
これで学園内の松崎人気も上がりそうだな。
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