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謎のハーフ少年
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部活で遅くなった俺は、急いで寮に戻る。
すると寮のエントランスで、藤森に会った。
「結城先輩、門限ギリギリっすねー。他校生と合コンすか?」
「違う…部活だよ部活。」
「ですよねー」
分かってたなら聞くなよ、と心の中でツッコミを入れる。
そして藤森はニヤニヤしながら言ってきた。
「ま、先輩には菅谷先輩がいますもんね?」
…嬉しいやら照れ臭いやら……
藤森には前から知っていたようなので、菅谷と付き合っていることを話した。
男子校だからか、全然引かれなかったのは幸いだった。
まあ、もともと藤森は、そういったことに偏見がないらしい。
「菅谷先輩とはどうなりました?」
「…テストの最終日に帰りにラーメン屋に寄って久し振りにちゃんと話した。」
「で?」
「可愛かった」
「イヤ、惚気ろなんて誰も言ってませんし。」
「し、仕方ないだろ…『宗吉くんに会えなくて寂しかったぁ…』なんて言われたら、誰だって惚気たくなるって。」
「…まあ、菅谷先輩、顔だけは可愛いですもんね」
「性格もだ。」
「…そっすか。」
そうして20分程2人で話していたら、手前の備品室から誰かが出てきた。
色素の薄い、ハーフの生徒だった。
何度か廊下で見かけたことがある。
そして時間を置いて、もう一人出てきた。
「あ、おやすみなさいー」
その人に気づいた藤森がそう言って会釈をしたので、俺も振り返って見ると、
「会長!?」
俺は声を上げた。
会長はふふ、と微笑むと、
「おやすみ、藤森くん。宗吉、先に戻っているよ。」
と言って、上に上がっていった。
…
……
………
…会長、あの部屋で何してたんだ!?
「結城先輩?なに固まってんです?」
「いや…」
「あー…さっきのハーフの奴なら俺と同じクラスっすよ。顔キレイっすよね。見とれてたんですか。」
「いや違う」
「まあ、アイツ科学オタクで言ってること意味不明だから誰も相手にしてませんよ。」
「だから違うって」
「…じゃあどうしたんですか」
…どうしたって……
俺は会長が気になって、という言葉を飲み込んだ。
「…あのハーフの男子、1年だったんだな。」
「え?ああ、そうですよ。柏木アイザックってやつです。アメリカと日本のハーフ?だったかな」
「…会長と仲良いのか?」
「んー知らないっすけど、会長が時々、化学室に行くのは見たことあります」
……い、嫌な予感。
俺は今までの経験から、ある想像が頭をよぎった。
「あ、もうこんな時間だ!じゃあな藤森、おやすみ!」
「えっ、あ、ハイ、おやすみなさ…」
俺は藤森の言葉を最後まで聞かずに階段を駆け上がった。
そして、勢いよく自室のドアを開けた。
「宗吉おかえり。まだ話してて良かったのに。」
「…おかえり、じゃない……」
俺は自分のベッドにボスッと座ると、会長のほうを見た。
「…さっき、あの部屋で何してた。」
会長は少し黙り込んだが、すぐにいつものように微笑んだ。
「宗吉は、どう思ったの?」
「……また、いつものか、と思った」
「ふふ、さっきはキスだけだよ。」
「さっきは、ってことは前にしたことあるんだろ?」
「うん。」
……やっぱり。
1年生にまで手をつけていたとは。
俺は大きく溜め息を吐いた。
会長は可笑しそうに笑うと、俺の横に座ってきた。
「久し振りに、話聞いてくれる?」
そうして顔を覗き込んできた会長に、俺は少しドキリとした。
だが、聞く時の心境が、前とは少しだけ違うような気もした。
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