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夏の思い出2 #香坂side
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「ギャハハハハ!!!またひよ名前からかわれたんだ!」
目の前で胡座をかいて座る女性が、俺の横に座る奴に指を指してそう笑った。
そいつはプルプルと悔しそうに震えている。
「母ちゃんがこんな名前付けるからだろ!」
「いーじゃん可愛くて。ねぇ、藤森くん?」
彼女が耀介にそう振ると、ニヤニヤしながら「そうっすよ~ひよ先輩♪」と言う。
「ひよって言うな!!!」
そいつはギャーギャーと喚いた。
何故か犬猿の仲である松崎の家に泊まることになった、俺と幼馴染みの耀介。
俺は心底松崎が苦手だが、今は何故か隣に座っている。
松崎は俺の方をチラ、と見ると、「......すまんな」と不本意そうに呟いた。
「全然いい。俺も嬉しいし。
なあ、依里花(エリカ)ちゃん。」
そう言って膝の上に座る松崎の妹の頭を撫でた。
「筋肉すっげぇー!なあ、どうやって鍛えんの?」
後ろから被さってくるのは、松崎の弟の瑠依(ルイ)くん。
かわいいな...
松崎の家は五人兄弟で、この子たちは次女と三男。
長男の松崎とは10歳離れている。
俺には兄弟が居なかったから、こんなに人が居るのは嬉しかった。
藤森は巨乳の松崎の母親と一通りはなし終わると、立ち上がった。
「大ちゃん、ひよ先輩。せっかくの夏休みっすよ。どっか遊びにいきましょーよ。」
「そーよ。言ってきな。
あ、でもこの子っち連れてって。夕飯作るときジャマだかんさ。」
「へーへー。じゃあ公園でも行くか。」
松崎はそう言うと、俺の膝に乗っていた依里花ちゃんをひょい、と持ち上げた。
そうして俺にもぶっきらぼうにこう言う。
「オラ、ゴリラも行くぞ。」
「ゴリラじゃねーよヒヨコ」
「あ"ぁ?」
俺達が睨みあうと、「けんかだめ~」と依里花ちゃんにぷんぷんと怒られる。
か、かわいい...
俺も松崎もたぶん同じことを考えていた。
公園に行って思ったこと。
松崎は面倒見が良い。
五人兄弟の長男だからか。
俺は、依里花ちゃんと瑠依くんと砂遊びをしている松崎をぼんやりと眺めた。
いつも変態のクセに...
以外としっかりしてるんだな。
なんか...ギャップ......
すると、遊んでいた依里花ちゃんと目が合う。
「大悟くんも遊ぼぉ~!」
そう言って手を振っている。
「ああ、行くよー」
俺も砂場に行く。
松崎はトンネルを掘るのに夢中で、俺が来ても、「おー」としか言わなかった。
普段だったら来んじゃねーよとか言われそうだけどな...
俺は反対側から掘りながら、チラ、と松崎の顔を覗く。
...なんか子供みたいだな。
前髪を上げているからか、幼く見える。
...こんな弟がいたら良かったな
まあ、生意気だけど。
どんどん掘っていくと、誰かの指に当たる。
あ、通ったのか。
その誰かは俺の指をキュッと掴むと、「よっしゃ!」と声を上げた。
...って松崎かよ!
松崎も気付いたらしく、バッと此方を見上げると、俺と目があった。
「うええええええええっ!?」
そう叫ぶと、パッと手を離して後ずさりした。
「きっ貴様かよ!気色悪いんじゃボケェェ!!」
「うっせえな。通ったから良かったじゃねえか。」
「良くねえわ!なんで会長以外の野郎と手ぇ繋がなきゃならないんじゃい!!」
俺だって会長のほうがいいに決まってるだろ。
そう思ったが言うのも面倒になって、はあ、と溜め息を吐いた。
松崎はぐぬぬ...と俺を睨むと、「手ぇ洗ってくる!!」と水道の方にずんずん歩いていってしまった。
......。
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