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第百十八話 side 朝比奈 悠宇
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カットモデルと聞いて大騒ぎする高梨君を見て、森田君と木下君が笑っている。
「ダメ、ダメですお兄さん!モデルだなんて、これ以上二人にモテ要素追加しないでください!
俺、高校生活にかけてるんです!!」
「え!?かけてる何を!?」
「お兄さん、コイツの事は気にしないでください・・病気みたいなもんなんで。」
「そうそう、二人がモテようがモテまいが高梨には一ミリも関係無いってこと、そろそろ気づきなよ〜」
「う、う・・・二人共っ!言い過ぎだろ!!!」
「は〜・・お前がいたら話進まないから、俺達は教室戻るぞ。」
「え、え〜〜!お兄さん、俺でよければいつでも・・・!ちょっ、引っ張るなよ!木下ぁぁ〜!」
「ハイハイ、分かった分かった。ほら、行くぞー」
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「ふふっ・・希のお友達、面白いね。」
「うん・・・ずっと一緒だと疲れるけどね・・」
二人の背中を見送って視線を光さんに戻すと、いつの間にか森田君のフワフワの髪に光さんが顎を乗せて後ろからゆるく抱きかかえる格好になっていた。
さっきまで離れて座っていたのに・・い、いつの間に!?
素早い行動に驚いているのもつかの間、光さんが口を開いた。
「じゃあ、本題なんだけど、『月刊SAKANOMACHI』でサロン特集が組まれる事になってね。
うちが見開き丸まる1ページ担当させてもらえる事になったんだ。
それで、店内写真と俺のインタビュー、それからヘアスタイル例を乗せるんだけど、
聡太君、朝比奈君、それから希に1パターンずつお願いしたくて・・・
東上坂はバイト禁止でしょ?だからバイト代は出せないけれど、夜ご飯に焼肉!って感じで・・
どう、かな・・?」
「えっ!僕もだったの!?」
「あ、言って無かったかな〜?」
「聞いてなーい!でも、兄ちゃんすごい!見開き1ページなんて!僕やるよ!最高にカッコイイカットにしてね!」
『月刊SAKANOMACHI』といえば、この街に住む人で知らない人は居ない位の知名度があって、
有名モデルを招いたインタビューから、ローカルフードの情報まで幅広い内容になっている。
そこで特集を組まれるなんて、光さんにとってはきっと凄いチャンスに違いなくて。
そんな大事なページのモデルをお願いされて、緊張する一方で光さんへの恩返しが出来ると
嬉しくもあって・・
隣にいる聡太に視線をやると、聡太も俺を見ていてーー
二人が同じ気持ちだと確信して、お互いに頷き合って光さんに返事をした。
「光さん、俺で良かったら、よろしくお願いします。」
「俺も!頑張ります!よろしくお願いします!」
「わ、わ〜!二人共〜〜!!ありがとう!俺めっちゃ張り切るから!
本当、ありがとうね!」
キーンコーンカーンコーン・・・
予鈴がなって、光さんと別れて教室へ戻る。
カットモデルか・・
写真って、カメラマンさんが来るんだよね?
俺、緊張して変な顔しちゃいそう。
授業中、そんな事を思いながらチラリと横を見ると俺とお揃いのシャーペンを持った聡太がいて。
真面目にノートを取る姿、伏し目がちな瞳に長いまつげ。
カッコよくてつい見惚れてしまった。
「こら、朝比奈〜
何真咲に見とれてんだ〜?いちゃつくのは家に帰ってからにしろよ〜!」
ガッターン!!!
「っ!っ!!!?」
そ、そうだ・・今は山本先生の授業だった・・・!
聡太に見惚れる所を見つけて、見逃してくれるような先生じゃないのは良く分かっていたつもりだったのに・・!
お揃いのシャーペン、モデルの事・・そして、付き合ってるって事を隠さないと決めた事、
色んな事が一気に起きたからって、授業に集中しないなんて俺何やってんだろう・・
皆の前でそんな事を言われて、顔が熱くなるのを感じる。
クラスメイト達は冗談だと思っているようで、茶化したり、笑ったりしているけれど
当の俺はそれどころじゃなくて。
「クックック・・冗談だよ。しっかり授業受けろよ〜ほら座って座って!」
聡太がこっちを見ている気がしたけれど、恥ずかしくて顔を上げる事が出来なかったーー
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