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第二話 天使とイケメンと俺。
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山の上にある東上坂高校は県内で一番の進学校で、市街地からバスで20分程の山の上にあり、その周辺は歴史ある神社や寺に囲まれている。
学校周辺の、遠くに見える街を覆い隠すように赤々と色づいた景色、その中にひっそりと佇む神社の美しさに心を奪われた俺は、こんな所で俺の事を本当に分かってくれる彼女とデートしてみてーな・・なんて、邪な気持ちいっぱいで、ここに通いたいと心に決めた。
合格発表で自分の番号を見つけた時は本当に嬉しかった。
そして入学式の日、教室で俺は天使に出会ってしまった・・・
ちっちゃくて、肩まであるふわふわの栗色の髪、大きなクリクリの目、細くて白い可愛い女の子。
友達らしき数人と、キャッキャと戯れる姿はまさに天使。
優しそうで、穏やかそうで・・時が経つのを忘れて見惚れてしまう・・・
これが一目惚れってやつなのか!?
あんなに優しそうな子なら、俺を受け入れてくれるかもしれねー・・・
過去の恋愛に少しトラウマがある俺は、その優しそうな見た目にすっかり脳内お花畑で天使ちゃんと付き合う妄想で頭が一杯になって・・・
隣の席の奴に、いきなり声を掛けられて、ビクッとしてしまった。
「ねぇねぇ!君凄く背が高いよね!何センチあるの!?」
「っ!あ、182だけど…」
今呑気に話してる暇はねぇんだよ!
俺は天使ちゃんのリサーチをだな・・・
「おぉー!
俺、175なんだけど、
今まで大きい大きい言われてて、
なんか仲間ができて嬉しいよ!あ、自己紹介まだだった!!
遅れてごめん、俺は朝比奈 悠宇!よろしくね!」
ん?なんだこいつ、めちゃくちゃイケメンじゃねーか!?
イケメンで爽やかとか・・・すげー羨ましい・・・
人と話すのが得意ではない俺は、時々告白をされるものの全て見た目だけ。
無口なところが大人っぽくて素敵だとかミステリアスだとか、女子が勝手に騒いでくれていたのだ。
実はただの人見知りで口下手なだけ。
そして・・・自覚は無かったんだけど、抜けてるところがあるみてーだ。
少し付き合うと、すぐに思ってたのと違うと言われて振られてしまっていた。
「真咲君って、イメージ全然違ったんだよね‥なんか、鈍臭くて、カッコ悪いの。大っきくてカッコイイだけに、余計にそれが目立つんだよねぇ?」
元カノが友達に言っていた台詞。
偶然聞いてしまって、その晩はショックで眠れなかった。。。
高校では完璧に演じてやる。
そして、憧れの男女交際ライフを送るんだ!
なんて決意を秘めつつ、隣の爽やかイケメンヤローに
「あ、真咲 聡太(まさき そうた)です。よろしく。」
なんて、なんの面白みもない返事しか出来なかったのだった・・・
キーンコーンカーンコーン
「あっ!ホームルームだね!また後でゆっくり話そうよ!」
その後も爽やかイケメンヤローがなんやかんやと面白トークをしてくれて、俺が必死に相槌を打っている間にホームルームの時間になってしまった。
天使ちゃんを見つめる時間が減っちまったじゃねぇか!
なんて心で悪態をつきつつも、人見知りな俺は友達ができたんじゃねーの?
と、ちょっとだけ嬉しかったのだ。
☆
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