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第八話 俺、椅子になる。
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ーーーーー バタン ーーーーー
「聡太!こんのやろぉ!!!!!!」
突然荒々しくドアが開いたかと思うと、
希が走り込んできて俺の腹に思いっきりダイブしてきた。
「っ!!!!!!!!!!」
「僕を売ったな!このやろー!」
軽いとはいえ思い切り飛び込んできた希の勢いに負けて、フェンスにガシャンと背中をぶつける。
俺の腹にタックルのような形で抱きついたまま俺を見上げてきた希の髪は、なぜか無理矢理ツインテールにされていた。
「って~~~!・・ん・・・?似合うな・・・・。」
思わず漏れる本音。
くりっとして少しタレた目元に、小さいけれど鼻筋の通った鼻、小さめの唇・・希はツインテールを完璧に自分の物にしていた・・
それを聞いて、悠宇も本当だ・・と呟く。
俺と悠宇は顔を見合わせて笑ってしまった。
「この学校で、ツインテールがお前程似合うやつはいない。」
抱きつく希のツインテールをつつき、ビシッと指を指して断言してやった。
「ちょっ、ちょっと聡太~~~!何キリッと言ってくれてんの!
僕がどれだけ大変だったと思ってるの!大体朝比奈君までどこかに行っちゃうから、もう女子の攻撃が僕に集中して大変だったんだよ!それを・・二人してのんきにお菓子なんか食べちゃってさぁ!!!」
「ごめんごめん、でも、森田君すごく可愛いよ!」
キラキラの笑顔で悠宇が希を褒めると、希も満更でもない顔をした。
おい、なんだその態度の違いは・・・。
「希、重いからどけよ。」
「は?罰だよ罰、僕を置いてっちゃうんだもん。僕の椅子になりな。」
そう言って希は俺のあぐらの中にすっぽりと納まり、俺の腹に背を預けてもたれかかってきた。
ぐりぐりと後頭部を押しつけてくる希。罰のつもりらしい・・・ふっ可愛いヤツめ。
こんな風に密着されても、希にはドキドキしない・・でも、悠宇が笑ったり手を握ったりしてくると
なんでちょっとドキドキしちゃったんだ・・・?
「朝比奈君、あの女子達を毎日相手にしてるなんてすごすぎるよ・・・
僕にはもう無理!
てゆーか、二人はいつの間に仲良くなったの?」
「入学式の日にちょっと話したんだけど、
ずっと聡太の事気になってて、
今日やっとゆっくり話せたんだよ。」
「あ~~聡太、すごく面白いよね。僕も毎日楽しくって・・」
ふと気がつくと、グルグルと考えていてもぬけの殻状態の俺を、すっかり椅子扱いして盛り上がる二人。
あんまり褒められてない気もするけど、ちょっと嬉しい。
キーンコーンカーンコーン・・・
「予鈴だ~、もう、髪の毛変な癖ついちゃったよ・・・」
予鈴に慌てて髪をほどくと、少しだけ癖が付いていて。
ふわりと膨らんだ希の髪を、悠宇が少し背をかがめてなでつける。
「あ~これは濡らさないとだね。」
「僕トイレ寄ってから行く~
ほら、聡太!ぼ~っとしてないで早く行くよ~~」
「おう!」
ゆっくりと立ち上がり屋上を後にする。
こんな時間もいいな・・・
と、余韻に浸る間もなく、希に背中を押されて教室に帰ったのだった・・。
☆
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