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第十二話 変化
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希のチームとの試合は俺達の勝利で終わった。
バスケ部がいない俺達が勝った理由・・・・
それは、希だ。
「いや~疲れた疲れた~」
「希、何もしてねーじゃん、むしろ足引っ張ってたな・・・」
「いやいや、僕なりに頑張ったから!」
パスは落とす、ダブルドリブルをする、敵の俺にパスを回す・・
めちゃくちゃだったんだけど、何故か清々しい表情の希。
俺なら一晩眠れないレベルの失態だけど、チームの皆も希なら仕方が無いという風でむしろ盛り上がっている。
希のプラス思考がある意味うらやましいな。
「よ、お疲れ真咲!お前バスケうまいな~!中学ん時、やってた?」
希と並んで壁にもたれて座る俺の元に木下がニコニコとやって来て、そのままどっかりと横に腰を下ろしたかと思うと、ガシッと俺の肩を組んで聞いてきた。
「あ、そうそう、聡太上手かったよね!
僕も思わずパス出しちゃったもん!!!あはは!」
「森田~アレはないわ!でも、あれが試合中お前が一番綺麗に決めたパスだったな!!」
そう言って豪快に笑う木下に答える。
「部活とかは入った事ねーけど、近所の公園にゴールがあったから、筋トレの延長でやってた。」
「ついででアレかよ!すげーなお前!」
運動したばっかで暑いのに、いつまで肩組んでんの木下・・・
益々暑いじゃねーか・・・・
「バスケ部入れよ~!」
「部活はちょっと・・・考えてねーかな。」
「なんだよ~もったいね~!」
組んだ肩をガシガシ揺らされる。すげーハイテンションだ。
元々騒がしいヤツって印象はあったけれど、初めて話した印象もそのまんまだった。
楽しそうに笑う木下に揺すられ続けて…こういう時どーいうリアクションして良いのかわかんねーな、何て思っていると、頭上から急に呼びかけられて。
「あ、真咲君・・・・さっきは、ありがとう・・・・!」
真っ赤になってうつむきながら、モジモジとお礼を言う横手さん。
俺、お礼なんて、言われるような事したか・・?
小さいせいか、その姿が小動物のようで自然と笑みがこぼれた。
「全然、気にすんなよ、勝ったんだし。結果オーライだろ。」
「う、うん!じゃあ、また次の試合もよろしくっ・・!」
少し叫ぶようにそう言うと、パタパタと女子のグル―プに戻って行った。
「さっきの試合なんかあったのか・・?あれは、完全に惚れてるな・・・・」
「聡太のクセに生意気・・・」
は?どこにそんな要素があんの?
今の会話で好きとかそういう要素あったか?
顎に手を置いてもう一度、会話を思い出していると・・・
「聡太、鈍いから、ハッキリ言われないとわかんないか・・・」
「真咲って見た目に似合わず鈍感なんだな・・・」
「聡太はさ、さり気にボディタッチ多いんだよね。無口なのに、触るの・・・ッ!僕もどれだけ触れられた事かっ・・」
「ん?真咲はむっつりなのか?試合中に、触ったの?」
「そ~なんだよ!木下が必死にボールを追いかけている時にねぇ・・」
「希、誤解を招くような言い方やめろよ・・・。」
ぎろっと睨むと、舌をべ~っと出す希に、こえ~っとつぶやく木下。
ーーーーー ピーッーーー !!!!
他愛もない話をしているうちに、悠宇のチームの試合が始まっていた。
「悠宇・・・カッコイイな・・・」
「あ、本当だ、ドリブルも様になってるね〜!さすが、朝比奈君は期待を裏切らないねぇ。」
「お~朝比奈も上手いな!あいつ元サッカー部だっけ!?おしいな~身長もあるし、バスケやればいいのに・・・・!」
「あ、悠宇がゴール決めた!今のスゲー綺麗なフォームじゃねーか?」
「ああ、基本がちゃんとなってるな。しかし、あのマークの中で良く飛べたなぁ・・・
・・・って、そんな事より女子盛り上がり過ぎじゃね!?俺も女子にモテてぇ~!俺なんて、バスケ部なのに真咲のせいで見せ場かなったしな!ハハハ!」
「さっきから聞いてたら聡太って朝比奈君のことになると、いつになくしゃべるね。」
クスクス・・
言われて気づく、俺、夢中になりすぎてた・・・・!
俺だってモテたかったハズなのに、男に見入ってるなんて・・・
しかも、無意識に声に出してたなんて、すげー恥ずかしいんだけど…
キャーキャー言う女子達の歓声が聞こえる。
よく聞くと、俺と同じような事を言っていて・・・・
乙女か!
何も言えなくなってうつむく俺。
木下はギャーギャーバスケ部の仲間を応援し始めた。
試合は悠宇が活躍したものの、バスケ部が2人もいた相手チームの勝ちだった。
木下は勝利したバスケ部の仲間の所に掛けていって、物すごい勢いで飛びついた。
試合が終わって、少しキョロキョロとした悠宇が俺達を見つけて近づいてくる。
「聡太、森田君!お疲れ~!負けちゃったよ~!次、聡太と試合出来なくて残念。」
右腕でグイッと額の汗をぬぐって、ほほ笑む悠宇はスゲー綺麗で。
「俺は、悠宇と敵として戦うのは嫌だからほっとしたかも」
俺の言葉を聞くと、悠宇は無言で下を向いてしまった。
あ、負けて良かったみたいな言い方、感じ悪かったか・・・?
ちょっと間があって、下を向いたまま悠宇が返事をした。よく見えねーけど、耳が少し赤くなってる…?
「あ、そう、だね。俺も、聡太と一緒が良かったかな。」
汗をかいて、息を切らしながら、その真っ白な肌がどんどん赤くなっていって・・・ちょっと変な気持ちになってくる・・・
そんな気持ちをごまかすように、口を開いた。
「負けて良かったみたいな言い方してワリー・・・」
「いやいや、そうじゃなくて、一緒が良かったって言われて嬉しくて!
ごめん、目をそらしちゃったから誤解させたよね…俺、ちょっと赤面症!?なんだよね!気にしないで!!
ほら、次、聡太の試合!森田君と応援してるから行っておいで!」
捲したてるように喋る悠宇に背中を押されてコートに出ようとすると、横手さんが迎えに来てくれていた。
「真咲君、試合だよ!行こう!」
「おう。」
悠宇と希を振り返り、軽く手を上げてコートに向かう。
今日は悠宇の様子がいつもと違う気がする・・・初めて、自分から、帰りに誘ってみようと思った。
☆
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