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第二十話 屋上会議
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今日は悠宇が休憩時間に良く俺達のところに来てくれる。
なぜだか取り巻きの女子達が悠宇に話しかけずに、少し距離を置いて俺達が話しているのを見ているからだ。
どういう心境の変化だろ・・・・
でも、そのおかげでたった10分の休憩だけど、くだらない事を話して盛り上がれて楽しい。
悠宇と希はいつの間にかすげー仲良くなっていた。
「あ、次科学だ!早く移動しよ~よ。」
「おう。」
「俺も一緒に行くよ!今日は班で実験だったよね。
聡太と森田君は同じ班でいいな~」
「僕も朝比奈君と一緒がいいよ~」
「俺も、悠宇と一緒がいい。」
あれ?悠宇、また赤くなった。
背が高くて、いつも綺麗な姿勢の悠宇だけど、こういう時はちょっと俯いて心なしか小さく見えて可愛く感じる。ふっと笑うとパッと目をそらされた。
ドン!
わき腹に希の肘鉄が刺さる・・・
「・・・て~・・・・何だよ急に・・・」
下を見ると、ジトっと睨みながら俺の事を見上げる希。
「別に。」
「何だよ・・。先行くからな。」
俺は希の分けわかんねーツッコミをスルーして、科学室に向かった。
さ、入るか・・・・・・・・・
ガチャン!!!!!
ん?あ!?何で鍵かかってんだ?
バッと顔を上げると、扉には『準備室』のプレート。
あ・・ドア、一個通り過ぎてた・・・
手前のドアの所で希がニヤニヤして俺を見ていて・・・
「ぼ~っと歩いてるから行きすぎちゃうんだよ~だ!ほら、早く来なよ〜!」
すげー恥ずかしい・・・・くそ・・・・希め・・・あの勝ち誇った顔!!!
希をムッと睨み返していると・・
「真咲君可愛い!」
「意外と、天然だね~」
希と悠宇の後ろにいた女子達が、そんな俺達の様子を見て盛り上がっている。
あれ・・?そこは、幻滅とか、カッコ悪いとか言うとこなんじゃねーの?
「聡太、ほら早くこっちおいでよ!」
「悠宇がそう言うなら・・・」
「何さ、僕の言う事は聞けないっていうの〜?」
黙ってると、カッコいいイケメンなのに、笑うと少し釣った目元が垂れて雰囲気がすごく柔らかくなる。
屋上でも思ったけど、この笑顔好きだな。悠宇の優しい笑顔と手招きに、素直に頷いて科学室に入る事にしたんだけど・・・
「や~!真咲君、かわいい~~~!」
そんな俺を見てまた謎の歓声が上がった。
・・・・・な・に・が・・・可愛かったんだ・・・・・?
周りの反応がいつもと違ってどうしていいか分かんねぇ。なんか今日は調子が狂うな・・・
科学の授業が終わると、やっと昼休みだ。
悠宇も誘って屋上に上る。
うちの学校は屋上の出入りは自由だから、既にパラパラと人が来ていた。
希が「場所取り~♪」と言いながら走って行ってスペースを確保していた。
ふわっと暖かい風が通り過ぎる。やっぱこの季節は気持ちいいな。
ぐっと伸びをしていると、チョコチョコと手招きをしながら希が真剣な表情で話しかけてきた。
「聡太、ちょっとソコに座りなさい。」
「なんだよ・・・」
「え~緊急会議を開きます。」
「・・・・・・・・」
正座をして、妙にかしこまる希。
「朝比奈君もお気づきだと思いますが、聡太がモテはじめています。
いえ、塞き止められていたモテが、ここ数日で決壊して一気に流れだそうとしているのです!
聡太がそこに気づかないままだと、被害者が増える一方なのです!」
「・・・・ん~・・でも、聡太はモテたいって言ってたでしょ?
・・・・・むしろ、本望、なんじゃないのかな・・・?」
「え・・・モテててる?俺が?いつ?悠宇みたいになってねーけど?」
「比べるトコおかしいから!
朝比奈君みたいなモテ方は、僕だって漫画やドラマでしか見たことないよ!!!
・・・・・・女子の視線、気がつかないの?それに、今日はずっと可愛いとかなんとか言われてたじゃん。」
そう言われて、ちょっとだけ居心地の悪そうな悠宇。
下を向いて、後頭部に手を当て、あはは・・と乾いた笑いを漏らしている。
「いや、可愛いとか意味わかんねーし。アレはダサいとか、カッコ悪いとか言う場面じゃねーの・・?」
「なんで、そー思うのさ?」
「今までああいう時はガッカリしたとか、カッコ悪いとかしか言われた事ねーから・・」
「んん~・・・・まぁ、中学生位だと、大人に憧れる時期ってあるでしょ?
聡太は見かけが大人っぽいし・・・でも、逆に今は女子のが大人になって、可愛い物が愛しい!?的な感じだと思うよ・・!うまく言えないけど・・今、聡太のモテが爆発してるんだよ!
そんで僕が言いたいのは、気が無いなら思わせぶりな事をしちゃダメって事だよ!」
少し黙っていた悠宇が、ふと顔を上げて聞いてきた。
「聡太は、どうしてモテたいの?」
「あ、そういえば僕も気になってた!女の子大好き~って、感じじゃないよね??なんでなのさ?」
単純だけど、難しい質問だ・・
ただ、モテたい、可愛い彼女が欲しいっていうのとも少し違って・・・
少し昔の事を思い出す。
あんま、いい話じゃねーけど、二人になら話してもいいかな。
ふーっと息を吐き出して、俺は話し始めた。
☆
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