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第二十四話 放課後の屋上
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希にしたように、悠宇を股の間に座らせると、腹の前で手を組んで肩に頭を預けた。
希は小さくて、俺は『座イス』・・って気分だったけど、
悠宇とはしっくりくる感じ。悠宇を包み込んでいるけれど、俺の体を預ける事もできて・・・
悠宇の甘い香りがほのかに香ってすげー落ち着く。
さっき、悠宇は部活で賑わっている校庭を見下ろしてぼんやりとしていた。
サッカー、また始めたら放課後中々どっか行けなくなるな。
悠宇とは趣味が合うし、一緒にいて楽しい。
スポーツに打ち込むのは応援したいけど、ちょっと寂しいとも思ってしまう。
悠宇は、さっきからずっと黙ったまんま。
何考えてんのかな・・・・。
さっき悠宇が抱きしめてきた時は、すげービビった。
だって、廊下で俺が抱きしめたいと一瞬でも思ってしまった事を見透かされたかと思ったから。
こうしてずっと抱き合って暖めるのか?どういう意味だろう・・・。
色々考えるけど、友達も希以外まともにいないから良く分からない。
俺より少し小さいだけの細く引き締まった男の体、それなのに、今まで感じたことのない不思議な気持ちになった。
悠宇の行動に驚いて見上げると、少しツリ目がちで大きな瞳のふちが赤く染まって潤んでいて、綺麗な悠宇を見て無性に抱きしめたいと思ったその時・・
「違った・・・?」と言って、慌てて離れて行こうとする悠宇を無意識で抱きしめ返していた。
俺と目が合うと、勘違いして抱きついてしまった事が相当恥ずかしかったらしく、あわあわと口を動かしていて。イケメンな顔に似合わない慌てぶりが可愛くて変なスイッチが入った俺は込みあがる笑いを抑えるのに必死だった。
そして今、悠宇は俺の胸に背中を預けて座っている。
希みたいに小さくないから、お互い足を投げ出すような形でくつろぐ。
俺に預けられた程良い重みが心地いいな。なんて、そんな事を考えながら、瞳を閉じて温もりを感じていると・・ぽつりと悠宇が言った。
「・・聡太、教室、どうかしたの?」
「あ、そうだ、忘れてた。」
「ふふ、聡太らしいな・・何かあった?」
「悠宇の取り巻き三人と、横手さん達に囲まれて色々聞かれたりどっか行こうって言われてたんだ。
希がその気がないなら気を持たせるような事言ったりしたりすんなって言うから、どーしていいか分かんなくなって逃げたとこだったんだよ。」
「あ~なるほど・・・豊田さん達でしょ?粘り強いから ふふ。俺も断りきれなくなってきてたトコ。」
「え!!行くのかよ??」
女子と、放課後や休みに会うのかって思ったら、つい声が大きくなってしまった。
「わっ!耳元で大きい声ださないでよ~~!」
右手で耳を押さえながら、ちらっと後ろを振りかえる悠宇。
少し赤い顔で笑っている。
「わ、ワリィ・・。・・・で、行くのか?」
「お、聡太、珍しい。食いつくね。ふふ、もしかして、聡太も行きたいの?」
「いや、俺は悠宇とどっか行きたい。」
思ったままの気持ちが口を突いて出た。
豊田さん達と出かける暇があるなら、俺が悠宇と一緒に出かけたい。
あ、子供じゃねーんだから、他の友達と遊んだら嫌だなんておかしいよな。
でも、なんか、やっぱり嫌なんだ。
「あは、俺も聡太とどっか行きたい。ケーキ屋、制覇する?」
「する。」
「素直!ははは!ケーキ屋探さなきゃだね!」
「俺が調べるから任せとけ。」
「こないだのお店も、調べてくれたんだよね。聡太は意外とマメだね。」
悠宇が背中を俺に預けて笑っている。
少し家が遠い悠宇が、そろそろ帰ろうかと言う。
その言葉を受けて、悠宇の前で組んでいた手をほどいて立ちあがってグッと伸びをした。
俺はこの時間が終わるのが少し寂しいと思いながら帰路についた。
☆
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