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第三十話 聡太の頑張り side朝比奈 悠宇
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聡太に突然告白されて、家に帰ってから色々と考えた。
もともと聡太の事は友達として好きで・・・・
でも、自分の中で友達とは何か違うんじゃないかっていうのも気づいていた。
それこそ、男同士だから何かの間違いじゃないかって何度も思った。
でも、聡太の優しさに触れて、こんな俺に素直で真っすぐにぶつかってきてくれて・・・
この間、屋上で二人で過ごした時、聡太に近づいたり、触れられたりする度に俺の心臓がドキドキと普通じゃない動きをしてーーーそして、抱きしめられた時に確信してしまった。
でも、俺だけがそんな幸せを貰うわけにはいかない。
『好き』という感情はすごく強力で、どんな風にも人を変えてしまう。
付き合って、別れたらそれでお終いだけど友達には終わりがない。
中学の時の記憶が蘇る。
『好き』という感情で、
あの時、あの子があんな事になってしまったのに、今さら俺だけが満たされるなんて・・・
やっぱり、まだ俺には一歩踏み出す勇気がない。
できたら、もう少し友達のままでいたい・・・だけどこのまま断ってサヨナラも嫌だ・・
自分がわがままなのは分かっている。
気がつくと明けがたになっていて、今日はあまり眠れなかった。
ーーーーーーーーー
教室に入って、いつも通り振舞おうと意気込んで席に向かう。
席について二人に挨拶をすると、森田君と話し込んでいた聡太が振り向いたんだけど・・・
「悠宇、おはよう。」
・・・・・!!!
髪型が違う・・・!
今日の聡太の髪型は、綺麗な創りの顔がより目立っていてーー凄く格好良かった。
見た目だけで好きになったワケじゃないけれど、ここまでカッコいいと意識せずにはいられない。
いつも通りに振る舞おうという決意が早くも揺らぐ。何でいきなりこんなカッコよくしてくるの・・・・
あ・・・!そういえば昨日「振り向いてもらえるように頑張る」って言ってたけど、もしかしてこれが・・・
聡太と目を合わせると照れてしまうから、視線を下に落とすと森田君の手元に一冊の雑誌が置かれていて、デカデカとしたタイトルが目に入ってきた。
『 最強☆モテ髪アレンジ 必勝BOOK 』
この雑誌、そして今日の聡太の髪型・・・
こんな雑誌を買って、それを実行してきたんだと思ったら思わず笑ってしまって。
昨日から緊張していた俺だけど、良い感じに気持ちがほぐれた。
すごくカッコいいのに、どこか抜けている。
そんな所が本当に可愛いなって改めて思ったんだ。
キーンコーンカーンコーン・・・
土曜の今日は朝礼が無いため、チャイムが鳴ってすぐにSHRが始まる。
「よーし、皆席つけよー!
今日はおまちかね!!フィールドワークの日だ!
SHR中に男女3人づつで6人のグル―プ決めをするぞ~!
男女の・・・いや、クラスの親睦を深めるいい機会だ!心して、取り組むように!」
あははははは!
山本先生の挨拶で教室が盛り上がる。
先生は自分の事のように楽しそうに仕切っている。
入学案内にも書いてあったんだけど、進学校である東上坂高校は一年生の時から土曜日にフルに授業が詰められていてる。けれど、それだけでは学べない友情や地域とのつながりは、こうして定期的に行われるフィールドワークによって学ぶそうなんだ。
第一回目が今日に当たるワケなんだけど、久々の息抜きとあってクラスは大盛り上がり。
入学して一ヵ月半もするとだいたいグループが出来ているけれど、男女ともに合同で班作りということで皆楽しそうに相談している。
「悠宇、希、一緒にやろ。」
ガタガタと椅子をこちらに向ける聡太。
いつもなら、無表情に近いのに今日は笑顔が多い気がする。
少し顔を傾けて、優しく微笑まれる。
隣同士の席は意外に近い。
「僕も~!」
「うん、やろやろ!男三人は決まりだね。」
後は、女子か・・・
ぐるりと教室を見渡すと、豊田さん達のグループと横手さん達のグループがこちらを見ていて、目が合った豊田さんがバッと立ち上がってこちらにやってきた。
後ろでしょんぼりしている横手さん。
聡太に好きと言われて、横手さんの気持ちを考えると少し胸が痛んだ。
「ね~、一緒に組もうよ!」
豊田さんと三好さんがそれぞれ俺と聡太の横に立って聞いてくる。
女子とグループを組まないといけないし、断る理由なんてもちろんない。
俺達は豊田さん達のグループと組むことになった。
「よーし!だいたい決まったな!じゃ、今から説明するから、一旦席着けよー!」
「じゃ、朝比奈君達、また後で~」
「うん、頑張ろうね!」
「それじゃ、説明するぞーーーーーー」
不安はあるけれど、聡太と初めてのフィールドワークは少し楽しみだった。
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