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第三十二話 俺の心臓が・・パートⅡ side朝比奈 悠宇
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「なんだ~真咲君か、ビックリしちゃった。恥ずかしい所、見られちゃったね。」
そう言って、腕に手を絡めたまま俺を見上げる豊田さん。
悪意が無いのは分かってる、でも誤解を与えるような言い方・・・・
一瞬、驚いたような表情をした聡太はサッと無表情になって無言でスタスタとこちらに近づいてきた。
整った顔立ちだから、無表情にも迫力がある。
俺も豊田さんも、何も言わず近づく聡太の意図が掴めず立ちつくす。
あと一歩という所で、聡太の長い手が伸びてきて・・・・
俺の両肩をぐっと掴んだかと思うと、勢いよく聡太の元へと引き寄せられた。
「キャッ・・!」
その衝撃で、俺の腕にしがみついていた豊田さんの手がほどけた。
俺と聡太は後数センチの距離で・・・このまま抱きしめられるかと思った・・・・。
「悠宇・・・後ろ、女郎蜘蛛の巣・・・。」
「え・・・・わっ!!!」
「きゃ!気持ち悪いッ!」
俺と豊田さんは同時に振り向いて驚いた。
あのまま進んでいたら、巣にぶつかってたかも・・・。
「悠宇、虫嫌いだろ?豊田さんも驚かせてごめん。」
「真咲君、気にしないで~~~!むしろ、ありがと!!
私も虫嫌いなんだよ~!あの蜘蛛・・・黄色くて黒シマ模様・・キモイよ~!」
「皆が次の神社に行くからって二人を探してた。いこうぜ。」
そう言って、俺の肩に置いていた手を離して元来た道を歩き出す聡太。
さっきまであんなに近かったのに、置いていかれるみたいで急にすごく寂しくなって無意識に追いかけていた。
「聡太!」
少し後ろから声をかけると、振り向いて優しくほほ笑んでくれて・・・
俺、今どんな顔してるんだろう・・・。
あれから聡太は俺の横に並んで歩いてくれて、聡太の横には森田君がいて。
豊田さん達も女の子同士で少し離れて何やら盛り上がっていた。
3つめの神社はお昼休憩を挟むため、クラスの全グループがルート3の神社は同じになっていて、そこでお昼ご飯を食べることになっていた。
お弁当を配る先生から俺と聡太が皆のお弁当とお茶を貰って、場所取りをしてくれている森田君の所に向かう。
「おまたせ~~~!」
「わ~!ありがと~!僕お腹ぺこぺこだよ~」
「私も~!!二人とも、ありがとう!!」
「配るね~」
周りを見回すと、どこもグループで盛り上がっていて皆楽しそう。
出発した時より、ずっと仲良くなっているのが分かる。
俺達はというと・・・・山本先生が言ってたように、男女の仲・・・?が深まろうとしているような・・・
聡太は俺の横に座ってくれて、その聡太の横には三好さん、俺の反対隣には豊田さん・・・
森田君と三浦さんは二人でお弁当についてアレコレ文句を言っている・・・・。
俺は豊田さんの話しに相槌を打って、聡太は三好さんの話しに耳を傾けていて・・
三好さんが、さりげなく聡太の腕にタッチするのを見るたび胸がチクリと傷む。
「俺、弁当片付けてこようかな・・」
なんとなくソコに居たくなくて立ちあがろうとすると、聡太が腕をぐっと引いて俺を座らせた。
「待って。」
そう言ってポケットをゴソゴソする聡太。
一つ小さな包みを取り出して、カサカサと開け始めた。
なんだろ・・・・アメ・・・?
「はい。」
ズイッ・・・・・・・・
アメをつまんだ、聡太の少しゴツゴツした男らしい長い指が俺の目の前に差し出される。
「・・・・・・」
あまりに目の前に差しだされたから、ちょっと寄り目になる俺。
「あ、くれるの・・・?」
「ん。はい。」
そう言って、その手がそのまま俺の口の前に移動した。
これって、そういう・・事だよな・・・?
こういう時の聡太は、有無を言わさぬ迫力がある・・・
皆、注目してるんだけど・・・・
聡太にじっと見つめられて、観念した俺は少し顎を上げて、口を開いた。
すると、聡太はニッコリと笑って俺の口の中にアメを落としてくれた。
何その笑顔…分けた前髪のせいで綺麗な瞳が笑顔で細められるのがハッキリと見えて、そのカッコ良さにまたドキドキしてしまう。
・・・・・ぱく・・・・・・。
何これ・・・すごい、恥ずかしい・・・・
「わ、かわい~」
「あ~ん、だ!」
「何してんのさ聡太~!!も~子供じゃないんだからね!」
盛り上がる豊田さんと三浦さん・・
ここで赤くなったらやばい!!!けれど、そう思えば思う程我慢できなくて・・・
「わ!朝比奈君可愛い!照れてる!!!」
「赤くなってる~」
「茶化してごめん。えへへ」
あぁぁぁ~~~恥ずかしい・・・・こんな大勢の前で久々に赤くなってしまった・・・!
「ね、真咲君!まだアメある!?」
三好さんの大きな声で現実へ引き戻される。
チラリと三好さんを見ると、少しモジモジとしながら聡太を見上げていた。
「あるけど、皆もいるか?」
「いるいる~!」
あ、もしかして、聡太・・・・
「僕はいいよ~。どうせ聡太のチョイスだから激甘なんでしょ?」
「まあな。じゃ、ハイどーぞ。」
ガサッ・・・。
俺の心配をよそに、円になって座る皆の真ん中に3つアメを置いた聡太。
三好さんがガクッとうなだれるのが見えた。
☆
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