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第三十四話 二人の気持ち side 森田 希
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朝比奈君の的確な指示で、フィールドワーク4つ目の神社にやってきた僕達。
順にスタンプを押して、境内や遊歩道にあるゴミを拾う。
次の神社で最後だ・・・
ルート図を見ると、5つ目の神社はこの間聡太と朝比奈君が一緒に行った長い階段のある神社だった。
豊田さんの猛攻から朝比奈君を守ろうと隣を譲らない聡太と、その隣に必死に着いていく三好さん。
僕と三浦さんはそんな4人の後ろを歩きながら、女子トーク←に花を咲かせていた。
「豊田さんも三好さんも頑張ってるね・・・」
「このフィールドワークに掛けてるらしいよぉ~!
まあ、どっちもイケメンだからね~!
気を抜いたら、あっという間に取られちゃいそうだもんね。」
「三浦さんは二人に興味ないの??」
「私イケメン苦手だもん~!傍にいるだけで緊張しちゃって、恋愛対象にならない・・・・」
「あ~分かる気がする~!二人とも、整い過ぎてる感はあるよね!あはは」
「そ~そ~!私はその隣に歩く自分が想像できないわ~!ふふふ。
そういえば、紗由の方はさ・・・入学式から朝比奈君に一目ぼれだから、
そろそろハッキリさせたいし、告白するって言ってたよ。」
「え!そーなの!?ま、分かりやすいアプローチ結構してるもんね、
そろそろ答えが欲しいよね・・・・。」
「ね、森田君はど~思う!?紗由、可愛いじゃん!?いけるかな??」
「ん~僕からはなんとも・・・・三浦さんは、どー思ってる?」
「う~ん・・・朝比奈君って、掴めないよね・・・
綺麗な顔で、やさしくてさ・・・でも、プライベート全然教えてくれないし、
グループで誘っても来てくれないんだよね・・・
脈なし・・かなぁ・・・まあ、あんだけ格好良かったら選び放題だろうしねぇ~」
朝比奈君・・・確かに女子には一歩踏み込ませない雰囲気があるよね。
昔にあった事が原因みたいだけれど、何があったのか良く分からないし・・・・
目の前を歩く聡太と朝比奈君を見る。
聡太はすごく優しい顔で朝比奈君を見下ろして、朝比奈君はそれに答えてほほ笑んでいる。
ほんわかした気持ちになりながら歩いていると、5つ目の神社の麓に着いた。
「わ~ここ、階段すごいね~!」
「きついねこれ~」
「ふふ。最後だし、皆頑張ろうね。」
長い階段に既に心が折れ気味の女子だったけど、
朝比奈君が首を傾けながらニッコリ笑ってそう言うと目に見えてテンションが上がった。
朝比奈君の笑顔には不思議なパワーがあるんだよね・・・・。
聡太と朝比奈君が先頭を上り、少し遅れて僕達が着いていく。
頂上はやっぱりすごい景色で・・・
この間は裏道から上がった僕だけど、ちゃんと階段を上ると達成感がすごい!
街を見下ろして、皆その景色に盛り上がっている。
ひとしきり盛り上がってスタンプを押した後、女子達は写真を撮ると行って遠くに海が見える裏手に移動して行った。
僕達は階段の上から街を見下ろして、たわいもない話をする。
「みて~僕の家、あの辺!」
「近いな・・・。俺の家は、あのデカイマンションの裏側だから見えないな・・」
「あ!見て!あそこ!あれ木下のグループじゃない!?」
「希、よく見えるな・・・俺にはマメにしか見えねえ・・・」
妙に静かな朝比奈君が気になって隣を見上げると、少し顔が青白くなっているような気がして・・・
ゆっくりと額に手を当てたかと思うと、階段の方にグラリと倒れ込んだーー
「!!あ!朝比奈君っ!!!」
「悠宇!!!」
瞬間、階段に足を踏み込んだ聡太が朝比奈君の腰を抱きすくめて・・・
ーーーどすん!!!----
聡太が朝比奈君を抱きしめたまま、後ろに尻もちを付いた。
「ってぇ・・・・悠宇!?大丈夫か!?」
「あ、ご、ゴメン・・・!ちょっとめまいがして・・・」
「朝比奈君!!!よ、よかった・・・二人ともぉ~~~ビックリしちゃったよぉぉぉ~!!」
「本当、ごめん、昨日あんま寝てなくて・・・」
朝比奈君の言葉を聞いて、ハッとする聡太。
「あ・・・・もしかして、寝てねぇのって俺のせい・・・・?」
「や、聡太のせいとかじゃなくて・・・」
悲しそうな表情をした聡太は、朝比奈君を前に抱えて座りこんだまま、
その肩に顔を寄せてささやいた。
「ごめん、迷惑、だったよな・・、悠宇、立てそうか・・?」
「あ、・・・」
迷惑じゃないといえば期待を持たせる、
迷惑だと言えばそこで終わりになってしまう・・・。
泣きそうな顔をしているのは、聡太だけじゃなくて・・・
二人がすれ違う姿を見ていると、朝比奈君だって聡太を好きなんでしょっ!て、言いたくなってしまった。
☆
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