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第三十六話 再会 side 朝比奈 悠宇
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ゆっくりとココアを受け取る。
すっかり冷たくなったココア、聡太はいつからここに居たんだろう。
「悠宇、大丈夫か?」
「聡太・・・・いつから・・・・・・?」
「ごめん、迷惑だって分かってたんだけど、悠宇がまた倒れるんじゃないかって心配になって・・少し離れて見てた。」
チラリ、と駅の時計を見ると俺達が別れてから2時間が経っていた。
辺りはまだ明るいけれど、駅は風が強くてじっとしていたら寒いハズで。
聡太の勇気を出した告白に何も答えていない卑怯な俺なのに、心配してずっと見守っていてくれたんだ・・・・。
聡太が、自分の事を「迷惑」って言った時の声を思い出す。
それは、少しだけ震えていた・・・・。
見下ろすその表情は少し眉を寄せて心配そうに俺の事を見つめながら、どこか寂しそうで。
俺が、こんな顔をさせてるんだって思うと、胸が張り裂けそうに痛かった。
「・・・・・・ごめん、男に付きまとわれても、気持ち悪いよな・・・。
本当、俺舞い上がって・・・・・悠宇の気持ち考えずに、急に告白なんかして・・・」
いつも、じっと俺の目を見て話してくれる聡太の瞳がそらされて、こんなセリフまで言わせてしまって。
自然と手が伸びて、聡太の右手を掴む。
聡太の視線がこちらに戻って・・少し目を開いて驚いた顔。ああ、俺も聡太が好きだ・・・・もう、素直になりたい。
手を握ったまま、じっと見上げていると聡太がすっと屈んだ。今度は聡太が少しだけ見上げる形になって、少しだけ二人の距離が近くなる。
「聡太・・・俺、俺も聡太のこと・・・
「朝比奈君・・?」
遮るように呼びかけられて二人で声のする方を見ると、迫さんが立っていた。
「迫・・・・さん。」
ちょうど、迫さんの事を思い出していたところだった・・・・
久しぶりに会った迫さんは、相変わらずのショートカットだけど金髪に近い色で、化粧をしているせいもあるのか、雰囲気が少し違う。
「東上坂高校に通ってるの・・・・いいね、朝比奈君は。」
「あ、うん。ごめん・・・」
「ごめんって思うなら、これからちょっと付き合って。そっちのお友達も良かったら一緒にいかない?」
言われて、迫さんを見ていた聡太は俺に視線を戻して、じっと見つめてくる。
一体誰なのか、どうして謝るのか・・色々聞きたい事があると思う。
「・・・・・迫さん、彼はこれから用事があるから俺だけ行くよ。聡太、今日はごめん・・・また話すから・・・。」
「・・・・・分かった。」
「つまんなーい。ま、朝比奈君だけでも充分か。じゃ、行こ。」
聡太を残してホームから街に向かう。
どんな顔をしているのか、見る勇気がなくて・・・振り返らずにホームを後にした。
☆
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