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第三十七話 私と朝比奈君の違い。 side 迫 実羽
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私は中学1年の3学期から不登校になって、今は入学試験なんて意味のないような高校に通ってる。
勉強やスポーツに打ち込む子なんていなくて、毎日くだらない見栄の張り合いで盛り上がるような仲間。
でも、そんな子たちでも居るだけで安心する。もう、孤独は嫌だから・・・。
中学の時に私から仲間を奪ったのは・・・朝比奈君・・・・。
初めて会った時は女の子みたいな子だと思った。
私より背が低くて、大きくて少し釣った瞳に鼻筋の通った形の良い鼻。
少し薄い唇は儚げで・・・
どこからどう見ても美少女で。
こんな男の子いるんだ・・・って、可愛すぎて色々と衝撃だったな・・・。
私がクラスの役員に立候補した時には、モジモジと手を挙げて副委員長に立候補してくれた。
その時は異性になんて見れなくて、可愛い~ってまるで弟のように思ってたっけ。
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「朝比奈君、あれからまた背が伸びた?」
「うん・・・でも3センチ位かな・・迫さんは、少し雰囲気が違ってビックリした。」
「ま、ね。今の学校じゃ、この位してないとまた仲間はずれにされちゃうからさ。」
そう言うと、私を見下ろす朝比奈君の顔がハッキリと動揺するのが分かった。
見上げて、益々格好良くなったなと思う。
スタイルが良くて、整ったカッコいい顔。少し色気もあって・・・
朝比奈君なら誰の彼氏にも劣らない。
さっき一緒に居た友達もすごく格好良かったな。
2人の空間はテレビの世界のように特別に見えた。
あの人・・聡太君だったかな?
今度呼んでもらおっと。
友達との待ち合わせ場所はもうすぐソコ。
ふふ。今から皆をビックリさせてやろ・・・
朝比奈君を利用してその位する権利、私にはあるハズ。
「ね、迫さん何処に行くの?」
少し不安そうな顔で問いかけてくる朝比奈君にいじわるをしたくなる。
「どこでもいいでしょ。黙ってついて来て、私の言うことに合わせてね。」
「うん。・・・それで、迫さんの気持ちが少しでも晴れるなら・・・・。」
「あんな事があって、どうやっても、もう取り戻せないよ!!!」
「・・・。」
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朝比奈君は中学1年の1学期後半から急に身長が伸びて、くりくりと可愛らしい顔だったのが中世的なカッコいい男の子へと変わってしまった。
見上げるようになった身長も逞しくなった体つきも、少し前まで女の子みたいだったのが嘘みたい。
そのカッコいい顔で優しく微笑まれると、勝手に胸がドキドキした。
普段友達として接していた私は急な変化に戸惑って・・
あまり朝比奈君と話した事の無い子は、昔の事なんて忘れたように男の子として朝比奈君を意識していた。
当時は誰と誰が付き合ってるとか、他校に彼氏ができたとか・・
皆そういう事に興味がある年齢で、朝比奈君も女子達の間で良く話題に上るようになったっけ。
そんな中で、私は朝比奈君の「友達」として時々恋愛相談を受けるようになった。
部活の中でも、朝比奈君に告白する子が増えてきて、今さら朝比奈君を好きとか・・・
そういう事を意識する雰囲気じゃなくなってきてて・・・。
部活帰り、皆で恋バナをしていた時に仲良し6人グループの一人が急に小さい声で話し始めた。
「・・・私、最近朝比奈君の事が気になってるんだけど・・・」
「きゃー!どうしたの、のかちゃん!
恋とか興味ないってこないだまで言ってたじゃん!!」
大人しいのかちゃんが顔を真っ赤にして話す恋バナに皆興味深々だった。
「少し前に宿題のプリントを運んでたらサッと持ってくれたんだよね。
それがすごくさり気なくて・・それから気になっちゃってる。」
そう言って、えへへと笑うのかちゃんが可愛くて皆大盛り上がり。
朝比奈君ってさりげない気遣いが、ほんとーにさり気なくできちゃうんだよね。
皆口々に応援の言葉を掛ける。
それは仲間なら当たり前だから・・私も同じように言葉をかけた。
「のかちゃん・・私、応援してるよ!」
「みうちゃんって、朝比奈君と良く話してるよね!みうちゃんに励ましてもらったら勇気でてきた!!よし、私頑張るっ!」
その数日後にのかちゃんは振られてしまって、その時に気になっている人がいるって言われたらしい。
振られてしまったのかちゃんを皆で励ました数日後、私は朝比奈君に呼び出された。
全てのタイミングが悪かったんだよね・・・
朝比奈君はカッコ良くて優しくて。
昔とのギャップに戸惑いはあったけれど、いつの間にか一人の男性として意識するようになっていたから・・・あんな事が無ければ付き合ってみたかったけれど、さすがにそれは出来なくて断った。
私は、恋より友情を取ったのに・・・
それは突然始まった・・・
部活帰りに誘われる事が無くなって、おかしいな・・?と思っていたら、皆が私に隠れてコソコソノートを回しているのを見かけてしまった。
ある日、そのノートが部室に無造作に置かれていて、気になってこっそり見るとそれは交換日記だった。
なんで、私は入ってないの?
目の前が真っ暗になる感覚。心臓がバクバクする・・・
バスでバスケの遠征試合に行く時は、皆に押し込まれるように後部座席に座らされた。
そこで2年の先輩達に挟まれて、ハーフパンツで隠れている太ももの辺りを思い切り肘で打たれた。
「ウッ・・・!」
「クスクス・・ブース・・・」
少し前に座る同じクラスの仲間がニヤニヤと笑っていて・・・
無表情なのかちゃんと目が合うと、サッと逸らされた。
「あんた、朝比奈君が自分の事好きだって知ってて、のかの事バカにしてたんでしょ?」
「え・・!まさか・・、そんな・・・」
「あんだけ朝比奈君と仲良くしてて、のかを応援するって言ったんでしょ?振られたのかを見て笑ってたんじゃないの?」
「あんた朝比奈君と付き合うらしーじゃん!」
「え・・・!?そんな・・・私、ちゃんと断りましたッ」
「大きい声ださないでよ・・・
朝比奈君が、あんたと付き合うって言ってたの聞いたやついるんだよ。」
「そんな・・・・」
中学の頃なんて、友達が全てで・・
私は友達を優先したのに、誰も私の事を信じてくれなくって・・・!!!!
毎日居場所が無いのが辛くて、苦しくてそこから不登校になってしまった・・・
私が不登校になって、朝比奈君が何度も家を訪ねてきて、誤解だって言ってたけどもう何も聞きたくなくて・・・
なんで朝比奈君がそんな事を言ったのか分からないけど、結局皆はずっと仲良くしていた私より朝比奈君を信じたって事なんだよ・・。
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「あ!みうーーー遅いぞーーーー!」
「ごめんごめん!今日は彼氏連れてきちゃったよーぉ」
「へ・・・?それ、アンタの彼氏・・・?」
「本当にいたんだ・・カッコイイ彼氏・・・」
皆の唖然とした顔がたまらない。
羨ましそうだったり、妬みの視線だったり。
彼氏がカッコいいってだけで、凄くステータスになる。
少し困った顔で私を見下ろす朝比奈君の腕に手を絡めて、ぎゅっと自分に引き寄せる。
「自己紹介してよ・・・」
「・・・朝比奈 悠宇です。よろしく。」
少しぎこちないけど、朝比奈君のかっこよさにみんなが釘付けで。
すごく気分がいい・・・
「あ、その制服東上坂じゃない!?」
「すご!みうの彼氏エリート!!!」
「ふふ。まあね。で?今日はどこにいくの?」
「んーーーせっかく彼氏さん来てくれたし、カラオケ、行こうよ!」
「いーね!」
隣のビルのカラオケBOXに行こうって事になって移動していると急に後ろから声を掛けられた。
「なあ、俺たちも、混ぜてくんねぇ?」
振り返ると、さっきのイケメン・・聡太君と、その隣には私より少し小さい可愛い顔をした男の子が立っていた。
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