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第三十八話 悠宇の過去。
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悠宇と別れて立ち尽くす。
さっきの・・・中学の時の友達・・?もしかして、元カノだったりして・・・
嫌な考えが頭を巡る。
でも、それよりも離れ際の悠宇の辛そうな顔がどうしても気になって・・・やっぱ追いかけよう、そう思った時少し離れた所から俺を呼ぶ声がした。それはよく知った声で。
「聡太!早くこっち来て!朝比奈君見えなくなっちゃうよ!!」
焦った風に柱の影から飛び出してきた希は、俺の元まで走ってきてそう言った。
「どうして希がここに・・・」
「朝比奈君を追っかけてった聡太が気になって僕もついてきちゃった!ゴメン☆」
えへ。と言って舌をだして笑う希。
妙におどけた仕草に少しだけ冷静になれた。
俺の事心配してくれたんだな・・・
嬉しくて、希の頭をくしゃりと撫でた。
「ありがとな。俺、悠宇を追いかける。なんか、ちょっと様子がおかしかったんだよ。」
「うん、僕も気になった・・急ご!」
走ってホームの階段を駆け下りると街に向かう二人の姿が見えて、しばらく後ろから見ていたけど悠宇の様子はやっぱりおかしくて・・
迫さん?が腕をギュと絡めた所で俺の我慢が限界にきた。
「なぁ、俺たちも、混ぜてくんねぇ?」
「え!え!!何?ナンパ!?」
「え、あ!!彼は、聡太君っていうの。悠宇の友達だよ・・・」
「キャー!友達までカッコイイの!?」
「隣の子、めちゃ可愛い!」
「えへへ、僕は森田希です!はじめまして!混ざっていいかな〜?」
「えー!もちろんだよぉ!行こう〜」
なんとか上手く混ざれて急いで悠宇の横に行くと、その表情はどこかほっとしたように見えた。
ーーーーー
『聡太・・・俺、俺も聡太のこと・・』
ーーーーー
ホームで俺の手を取って悠宇が言いかけた言葉の続き・・・俺、プラスに取っていいんだろうか。
少しの期待と、少しの不安を抱えて俺はカラオケへと向かった。
「6名様ですねー、お部屋308号室になります。ドリンクバーは2階ですのでご注意ください。」
「皆東上坂なんだねーすごい頭いいんだねぇ」
「うふふ、そ〜見える?僕は、まあ賢いけど、聡太はどうかな・・・ふふふ」
「は?希よりは賢いけど。」
「もー二人ともかわいい!」
あ・・出たな必殺『かわいい』・・・よく分かんねぇけど、取り敢えず笑いかけておく。
「・・・聡太君、彼女いるの・・・?」
「はいはい!僕は彼女いませ〜ん!」
「も〜森田君面白い〜!」
希が盛り上げてくれて、悠宇にも少し笑顔が戻る。
「じゃ、僕たちドリンク持って行くから!皆何がいい〜??」
「ありがと〜!私ウーロン!」
「うーん。私はアイスティー!」
「あ、じゃあ私はカルピスで・・・」
希の提案で女子達が先に3階に上がる。
迫さんは俺達を見て少し不安そうな顔をしながら女子達に着いて行った。
希・・・やるな・・・俺にもそのコミュ力が欲しいぜ・・・
「はい、悠宇。ドリンク何にする?」
少しでも元気になって欲しくて、グラスを差し出して微笑み掛ける。
「聡太、森田君・・ありがとう・・・」
グラスを受け取った悠宇は少し下を向いて眉を寄せている。
そんな俺達をじっと見守ってくれる希。
「ね、僕先に行って盛り上げとくから・・ちょっと二人で話してからおいでよ!」
希の好意に甘えて残る事にした俺達は、人の出入りが多いドリンクバーを後にして階段の踊り場に移動した。
「悠宇、どうしたんだよ。なんで、そんな辛そうなんだ・・・」
俯いて俺の前に立つ悠宇の頭をゆっくりと撫でる。柔かい髪がスルリと指の間を滑り落ちて・・そのまま耳にサラリと髪をかけてやる。
悠宇は中々顔を上げなくて・・・
辛そうな姿をこれ以上見ていられなくて、目の前の悠宇を思わず抱きしめてしまった。
ふわり、悠宇の香り。前に悠宇を抱きしめた時、俺はすごく安心したんだ。
少しでも俺の気持ちが伝わって欲しい。そう願って回した腕に力を込めると・・・
少しビクリとしたけれど、悠宇もゆっくりと俺の腰に腕を回して体を預けてくれた。
「聡太、聞いて欲しい事があるんだ。」
俺の肩口に額を押し付けて俯いたまま、迫さんとの関係をポツポツと話し始めた。
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