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第三十九話 悠宇の過去と希の頑張り。
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俺の肩に顔を押しつけて悠宇はハァー・・っと深い息をついてから話し始めた。
迫さんは悠宇が初めて告白した相手で、結果は振られて・・・
それから少しして迫さんが学校に来なくなった事も。
最初は風邪かと思っていたけれど、2ヶ月も休みが続いてさすがに心配になった悠宇が勇気を出して迫さんの家に行った時に、それが自分のせいだって分かったらしくて。
「もう私に関わらないで!!!
朝比奈君の嘘のせいで、私の人生ぐちゃぐちゃだよ!!!!!」
何を話しても聞き入れてもらえなくて、それからは門前払いになったらしい。
自分のせいで明るかった迫さんがあんな風になって、優しい悠宇はすごくすごく傷ついたに違いない。
思い出して震える肩が全てを物語っている。
言葉に詰まる度、抱きしめて、ゆっくりと背中を撫でる。
悠宇はその「嘘」が何なのか色々聞いて回ったらしいんだけど・・・
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「男バスって女バスと仲良いよね?迫さんが来なくなった事何か心当たりない??
本当、ちょっとした事でいいんだけど・・」
「あ~・・本人に言いにくいんだけど・・・。」
「お願い・・・何か出来ることがあったら何でもしたいんだ!」
「・・・もう、お前は関わらない方がいいんじゃないか?
言いにくいけど、朝比奈が迫と付き合うって噂が立ってから迫が目に見えてハブられだしたんだよな。」
「付き合う・・・・?そんな事、全然・・・むしろ俺振られたんだけど・・・」
「あ、そーなの?俺も、詳しくは知らねーけど・・・牧(まき のか)がそう言ってたらしいぜ。まだ部室に居ると思うけど?」
「・・・ありがとう。 牧さん・・・か・・・」
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・
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「みう、全然こなくなったね。」
「正直、まだ許せないよ・・・私の事応援してくれてたのに、
自分が朝比奈君に告白されるなんて・・・」
「自分に気があるの知ってたんじゃない!?
のかの事、バカにしてるよね!!
だいたい告白された事内緒にするなんてさ・・・・」
コンコン・・・・
「ハイ!!!どうぞー。」
ガラ―・・・・・
「ごめん、急に・・牧さんに聞きたい事があって・・・」
「ッ・・!!朝比奈君!!!!あ・・・もしかして、聞いてた・・・?
今のは・・えと・・・・」
「牧さん・・・ごめん。
嘘、ついたの・・・?どうして?皆友達だったんでしょ・・?」
「友達・・・?みうは、私に頑張れって言ったのに・・・
それに、朝比奈君に告白されて付き合わないわけないじゃん・・・
私、あの日二人が一緒に教室を出て行くの見て、気になってついて行ったんだよ・・・そしたら、朝比奈君告白してて・・実羽も好きって言ってたじゃん・・・私の事応援するって言ってたのに、ずっと友達だったのに・・そんな話し聞いたことなくて。応援するって言ってバカにしてたんだよ!!!!」
「違うよ!!!俺はちゃんと断られたんだよ!?」
「もうそんなの関係ないよ・・・私はまだ朝比奈君が好きなの。諦められない・・・・」
「そんな事であんな事をしたの・・?ごめん、俺牧さんとは付き合えない・・・」
「そんな事って何よ!!!!こんなに朝比奈君を好きなのに・・うッ・・・」
「のか・・・・。とにかく・・みうは私達を裏切ったんだよ。もうイイでしょ・・帰ってよ・・・」
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「学校に来られなくなる程迫さんが追いつめられて・・・・」
それは、悠宇のせいじゃない・・・
でも、優しくて素直な悠宇は自分が告白しなかったら、女の子に深入りしなかったら・・と、そればかり考えて3年間過ごしたらしい。
ずっと、自分がきっかけを作ってしまった後悔をしていた所への迫さんからのお願いだったってワケか。でも、迫さんの悠宇への態度はとても好意的には見えなくて。
「悠宇・・・俺にまかせろ・・・。」
ギュっと一層強く抱きしめて、耳元で囁いた。
「つらいけど、きっと分かってくれるから・・迫さんと話してみよう・・な?俺が、付いてるから・・」
そう言うと、肩に触れる額がゆっくりと頷くのが分かった。
ポンポンと頭を軽く叩いてゆっくりと離る。
「行くぞ。」
「うん・・・」
俺は悠宇の手を引いて、カラオケルームへと向かった。
ガチャーーーー
「ぎんっがむっちぇぇっく、こぉいーのーよかん~~~~」
「キャハハハ!!ヤバいノゾミちゃん!!!!ヘタ過ぎ!!!」
「夢に出るレベル!!!!」
そこにはソファーの上で小さく正座をして必死に歌う希がいた・・・・。
高い、女みたいな声で音程を無視した歌が室内に響く。
『僕先に行って盛り上げとくから・・・・・・』
カッコ良く去って行った希・・・・。言ってた事は本当だったけど・・・すげぇ。
希はプライド!?を金繰り捨てて俺達の為に・・・って、真剣に思いたいけど・・やばい・・ここで笑ったら人として・・・・
それでも、そんな希のおかげでいい感じで気負いがなくなった。
「あ~遅いよ朝比奈君!」
「聡太君も!こっち、こっち座って!!」
迫さんに呼ばれて横に座る悠宇。
緊張気味な顔をじっと見つめると目が合って、「俺がついてる」って気持ちを込めてゆっくりと頷くと少し笑ってくれた。
俺も、呼ばれた席に大人しく座る。
入り口横に大型ディスプレイがあって机を囲んでグルリとソファーが繋がっているタイプの部屋。
両端は俺と迫さんだから自然と目の前の迫さんに目が行く。
一人だけ、少し浮かない顔。
とりあえず、話しはこのカラオケが終わってからだ・・・。
ここまで来たからには、やるしかない!
俺も、希同様腹をくくる事にした。
☆
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