アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
第四十話 そんな気がしてた。 side 森田 希
-
聡太と朝比奈君の時間を作るために、女の子達が待つカラオケルームに飛び込んだ僕。
僕には秘策があるんだ・・・
二人が少し遅れると伝えると、残念がる女の子達に・・・・
「まぁまぁ、歌って待ってようよ!」
「じゃ、森田君最初ど~ぞ~~~」
「オッケ~!僕、すごいよ・・・?うふふ。」
「何何!勿体ぶらないで!!!あはは」
ピッピッ・・・・・・・・チャララ~
「え???アイドル系!?でも、可愛いから似合う!」
「~~♪~☆~♪~~△~~」
「え!!マジで!?てか声!!!声可愛いのに歌!!ヤバい!!!!」
「音痴な人とか!!初めて会うんですけど・・・!ウケル!!!」
顔で笑って心で泣いて・・・・今の僕にピッタリなこの言葉・・・・
うわあ~~ん!恥ずかしい・・・けど、男森田希、歌います!
僕の武器はこの歌声さ・・・・・!
歌い始めると安定の大爆笑。
自分が音痴だって気がついた時は結構凹んだけど・・・
今ではこれもネタ・・・的な・・・?
そういえば、何故か兄ちゃんだけは大絶賛してくれるんだよね。
兄ちゃん、ちょっとズレてるトコあるからなぁ・・・
僕の歌がツボに入った女の子達がどんどん曲を入れて、四曲目を歌っている時に二人が部屋に入ってきた。
つ・・疲れた・・・てか、聡太と朝比奈君、どうしていいか分からない顔してる・・・笑って・・・いいんだよ・・・むしろ笑ってくれないといたたまれない!
二人が入ってきて、仕切り直し。
迫さんと、お友達の女の子二人に僕達、ちょっとした自己紹介をしてデンモクをどっちから回すか両サイドに座る聡太と迫さんがじゃんけんで決める事になった。
「なぁ・・・歌いたいヤツが歌う・・・じゃダメか・・・?」
やるぞッて顔でドカリと席に座ったのに、この期に及んで怖気づく聡太。
何故か小さく挙手して皆に提案をしている。
相変わらず、ちょっとした仕草が僕のツボを押してくる。
可愛いな~聡太!ふふっ
そんな聡太の決死の提案は、女の子に見事に切り捨てられた。
「だ~め~!絶対歌わない気でしょ!?じゃんけんだよ、じゃんけん!!」
「・・・・・・そうか・・・・。」
心底残念そうに項垂れる聡太に、横に座る女の子が話しかける。
「何、聡太君歌苦手!?イケメンだから、ヘタでも許す!てか、付き合って!」
「も~アンタ何言ってんの!さ、じゃんけんして~!」
しぶしぶじゃんけんをして・・・聡太はパー迫さんはグー
あからさまにホッとする聡太。
いつも音楽を聴いているけど、歌うのは苦手なのかな・・・?
でも・・・・今まで色んな意味で期待を裏切ってきたからな・・・
聡太が歌うの、ちょっと楽しみかも・・・ふふふ
ヘタだったらしばらくネタにしてやろ・・・あ!僕人の事言えないんだった。えへ。
迫さんが歌って、朝比奈君の番。
元気の無かった聡太だけど、この時はシャキッと朝比奈君を見つめている。ププ・・分かりやすいな~
「~~~♪~~~~♪~~!」
元気な歌を綺麗な声を張って歌いあげる朝比奈君。声に透明感がある。
上手い・・・聡太なんて、目が♡・・は言いすぎだけど、絶対キュンとしてるはず!
ああ見えて結構女子なトコあるもんね。
「う、うま!!!実羽の彼氏・・・・完璧じゃん・・・」
「でしょ~えへへ」
迫さんは得意気で・・。嘘の彼氏にどんな意味があるのか僕には分からないけれど、朝比奈君をそんな事に利用されるのは僕も嫌だ。
順に回ってくるマイク。
「ね、僕さっき四曲も歌ったから、もういいでしょ~~~~?」
「ダメだよ~!ノゾミちゃんの歌、もっと聞きたい!!何だかクセになるんだよね!不思議~!」
「わかる~!!」
「わからないでよ~~~!!!!」
「ほら、文句言うなら勝手に曲入れちゃうゾ!」ピピピー――ッ!
「あ!僕この曲知らないよ!!!」
「ノゾミちゃんの場合、知ってても音合ってるトコないんだから問題ないっしょ!」
「も~~~~~!!! ~△~~♪~☆~~♪」
「やっぱり!!さっきと一緒!!!きゃはは」
「ノゾミちゃん、可愛すぎる!!!!」
まあ、盛り上がるなら・・いいか・・・・
って、僕そんなにひどかったの・・・・・?
次の女の子も歌い終わって・・・聡太の番。
さっきまで神妙な顔でデンモクと戦っていたけど・・一体どんな歌声なんだろう。
朝比奈君もじっと見てるぞッ 聡太、頑張れ!
チャラー ラ~
始まったイントロは聞いたことのない曲で・・・
皆キョトンとした顔。
だいたいこういう時って皆が知ってる盛り上がる曲を歌うよね?
すごく、静かな感じなんだけど・・・
「~~~♪~~~♪・・・・・・」
静かなバラードが始まって・・・
繊細なピアノの音に、聡太の低くて、時々掠れる男らしくて色気のある歌声がマッチしている。
上手過ぎて、つい皆聞き入って・・・誰も声を出せない・・・・
歌が終わって、一瞬の静寂。
さっきまで野次や黄色い声が飛んでいて、歌い終わったら皆拍手していたから不安になったのかパッと焦った顔で画面からこっちに振り返る聡太。
「ちょ・・・・聡太・・・うまい・・・」
僕の声をきっかけに、女の子達が拍手と一緒に絶賛した。
「今までで一番上手かも・・・!イケメンで歌上手いとか・・・・・!!!!!」
「聡太君、ほんと彼女にしてください・・・!」
聡太の横に座る女の子がふざけてガバリと抱きつく。
急に抱きつかれてビックリして少し後ろに下がった聡太は、抱きつかれた腕を優しくほどきながら困った顔をして迫さんにデンモクを回した。
「皆、大げさ・・・・てか、そんなお世辞いいから。」
「お世辞じゃない!!!!」
あ、思わず僕が突っ込んじゃった・・・!
「ふ、希、サンキュ・・。」
僕がフォローしたと思ってる・・・本当にお世辞じゃないのに・・・
ふわりと僕にほほ笑みかける笑顔を女の子達がじっと見つめている・・
ヤメテ、聡太・・これ以上はヤメテあげて!!!
「ほんとだよ!ね?朝比奈君?」
チラリと朝比奈君を見ながら話を振る。
「うん!俺も、すごくビックリした!聡太めちゃくちゃ上手いよ!」
「・・・・・・・・・・。」
朝比奈君のスペシャル笑顔に照れて俯く聡太。
空気がほぐれてきて、皆楽しそうだ。
そうやって順に歌って気がつけば21時になろうとしていた。
プルルルルプルルルル・・・・・ガチャ・・・・・・「お時間です。」
終了を告げる電話が鳴る。
ホールでお会計をしている時に、聡太がこっそりと迫さんを連れ出して少し話していて・・・・
今日は遅いのでこれで解散。
女の子達がアドレス交換をしようと言ってきたけど、迫さんを通してまた会おうという事で今日は別れた。
その場に迫さんと朝比奈君、聡太と僕が残る。
きっと、必要があったら話してくれるはず。
「じゃ、僕も遅いと兄ちゃんが心配するから!またね~~~」
そう言って、三人を残して街を後にした。
☆
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
40 / 134