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第四十四話 二人の距離 side 森田 希
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ああ~僕、今日も早起きして良かった・・・
やっぱり事件!?は朝起きるんだよね~!
正直、昨日はあれからどうなったのか、すご~く気になってたんだ。
朝比奈君を苦しめる、昔の出来事・・・それが解決されたのかどうか。
僕は僕に出来る最大限の事をしたつもり。
朝教室に入って聡太と挨拶を交わして・・・
いつもどちらかというと気だるい雰囲気の聡太が今日は朝からすごく機嫌がいい。
切れ長でクールな印象の目元がふわっと緩んで優しい表情。
聡太にこんな表情をさせるのは朝比奈君だけで・・・・
きっと問題が解決して、良い方向に向かってるんだって事が分かって一安心、なんだけどっ・・・・
今誰かに挨拶されたら、聡太絶対この顔で挨拶しちゃう・・・・
この顔、女子に見せたらヤバい!!!、これ以上犠牲者が出ないように僕は必死に隠したよ・・・
本当、無自覚天然は怖いッ!
そんで、朝比奈君がやってきて・・・・
目元を押さえこまれて、朝比奈君を探す聡太、そしてそれに答えて肩に手を置く朝比奈君。
なんか・・・二人の距離、近くなってない!?
これは・・・もしや・・・
過去の問題だけじゃなくて、二人の関係も・・・・?
少し照れくさそうに、朝比奈君から放課後に話があると言われて確信する。
ああ、よかった・・・二人はうまくいったんだね・・・・・・!
じんわり、胸の辺りがなんだかあたたかくなる。
その後は高梨君に嫉妬した聡太が朝比奈君を抱き込んで・・・
「高梨、昨日の事は同情するけど・・・悠宇の顔は、やれねぇ。」
ふっと不敵に笑って言う聡太を見て、女子達が大興奮。
王子様みたいな朝比奈君とナイトみたいな聡太のツーショットは確かに絵になる。
そこから山本先生が来るまで大騒ぎだった。
マイペースな聡太は周りの子達が頬を染めて見つめているのなんてお構いなしで、ほんの少し赤くなって俯く朝比奈君を抱きしめて満足そうに微笑んでいて・・・
二人の・・主に聡太の雰囲気が違うもんだから、いつもより女子に話しかけられていたりと
今日はなんだか落ち着かなかった。
そして、放課後・・・・
今僕たちは、ハンバーガーを食べながら昨日僕が帰った後の話しを聞いている。
朝比奈君に、そんな過去があったなんて・・・
わざわざ遠い学校を選んだのも、これ以上自分のせいでゴタゴタが続かないようにするためで・・・
それに、初恋がそんな終わり方をして今まで恋を避けてたなんてすごく悲しい。
「そう、だったんだね・・・・でも、解決して良かった!
僕も歌ったかいがあったってもんだね!!
ん・・・?あれれ?じゃあ、朝比奈君・・・・もしかして聡太が、初恋人・・・・?」
気になる事をつい聞いてしまった・・・
目の前に座る朝比奈君は、どこをどう見ても整った、中世的で綺麗な顔をしていて・・・
そんな朝比奈君に今まで恋人が居なかったなんて、誰も信じられないんじゃない・・・!?
「うう~痛いとこ突かれた!あは、そうなんだよね。」
僕の問いに照れたように笑いながら答える朝比奈君。
ぎゃーやっぱそうかー!!!
こんなにカッコ良くて優しい人の初恋人の座に着けるなんて、なんか、すごく貴重じゃない!?
「初恋人・・・・・か。」
じっと朝比奈君を見つめながら、聡太が呟く。
意外と乙女な聡太は自分が『初恋人』って事をめちゃくちゃ喜んでいるハズ!
「も~それ、何度も言うなよ~!なんか恥ずかしいだろ!!」
ネタにされて照れた朝比奈君は、手で顔を覆ってしまった。
その容姿から、恋愛慣れしていそうなのに実はすごくピュアなんて・・
すこし前に体育館で話した時の事を思い出して、妙に納得してしまった。
「聡太、初めての恋人だって!大事にしてあげるんだぞ~!」
「俺も、こんなに好きになった人は悠宇が初めてだから・・・・めちゃくちゃ大事にする。」
すごく自信満々に言いきる聡太・・ノロケとか、普通だったらオイオイ~ってなるんだけど、
見た目的に臭いセリフだって格好いい外見のせいもあってか、見てて逆に清々しい・・・・・
その言葉を聞いて驚いた朝比奈君の手が顔から離れて・・・・
二人の目が合うと聡太はふわりと笑いかけながら、流れるように手の甲で朝比奈君の頬をスルリと撫でた。それは、とても自然な動きで・・・・
「ねえ・・・聡太って、目立つこと嫌いだけど、変なトコ大胆だよね・・・。」
「そうか?」
僕の言葉に朝比奈君がパッとこちらを向く。
「俺、心臓が持たないかもしれない・・・・・」
「あはは、本当だよ~!聡太、ちょっと飛ばし過ぎ!」
「・・・・高梨は近寄っても良くて、俺はダメ・・・?」
「聡太は特別だから、ドキドキするんだよ!」
「・・・・そんな事言われて、我慢できないんだけど・・・」
真っ赤になる朝比奈君と複雑な表情の聡太。
さすが、こうと決めたら一直線の男・・・止まる事を知らないね・・・・。
「きゃー僕、ここに居てもいいの???」
「あ、希はいいんだ。空気みたいなもんだから。」
「聡太!それ、いい意味で言ってるつもりだろーけど、違うから!!!僕の事も気遣って・・!」
「そういえば、森田君は最初から俺の話しに驚いたりしなくて・・・男同士って偏見、ないの?」
ミルクティーの氷をツンツンとストローでつつきながら、朝比奈君が聞いてきた。
「あ~そういえば・・・同姓とか、僕は思いもしなかったんだけど、朝比奈君の気持ちを聞いた時全然違和感が無かったんだよね・・・・何でかは分からないんだけど、人が人を好きになって、それで思いが通じ合うってそれだけで素敵だと思う。性別とか、気にならないかな☆」
思った事を、なるべく明るく、何でもないことのように言ってみる。
きっと、真面目な朝比奈君は気にしてるんだろうから・・・・
「僕はそう思うけど、聡太はどー思ってるの?」
「俺・・・?俺は、悠宇が好き。それだけだ。男とか女とかかんけーねぇかな。悠宇だから好きなんだよ。」
ほら、ね。聡太は大丈夫だよ。朝比奈君。
「そっか・・・うん、ありがと。俺も、聡太だから好きなんだ。」
朝比奈君の言葉を聞いて、今にも抱きしめんとする聡太。
一応、場所を気にしているのか、抱き寄せようと動いた右手は一瞬戸惑ったように宙を彷徨ってから朝比奈君の頭にポスンと乗せられた。
これから色々と困難にぶつかるかもしれないけれど、僕はずっと応援してるよ。
そして、僕がここに居る事を忘れないで聡太・・・・
☆
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