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第四十五話 もっと傍にいたい。
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俺は今深刻な悠宇不足に陥っている。
何でって・・・
『聡太は特別だから、ドキドキするんだよ!』
悠宇がめちゃくちゃ可愛い事を言ったのに、スグに抱きしめられないからだ。
そういえば、悠宇に対してつい可愛いを連呼してしまう俺だけど、
悠宇は決して女みたいな外見じゃない。
整った顔立ちと少し釣った目元は、男の俺から見ても本当に格好良くて。
でも、笑ったり照れたり表情がクルクル変わる所がすごく可愛いと感じる。
抱きしめて、俺だけがそんな悠宇を見ていたい・・・なんて、すげぇ独占欲。
希と別れて、悠宇を送る為に駅に向かう。
『聡太、ちょっと飛ばし過ぎ!』
希にはああ言われたけど・・・・俺としては、これでもセーブしてるつもりだ。
本当は、もっと一緒にいたい、もっと悠宇を近くに感じたい。
二人で過ごす放課後はあっという間で・・・・
すぐに帰るのは寂しくて街から駅までの間にある、あの公園に寄ることにした。
夕方6時 まだ明るいこの時間は疎らに人がいて。
公園の端、少し木々で目隠しされていて皆に忘れ去られたようにひっそりとある錆びたベンチに二人で腰かけた。
「悠宇。」
「ん?」
二コリと笑って俺の方を向く悠宇。
呼ぶと返事がある。
そんな些細な事が嬉しくて、俺は無意識に手を伸ばして悠宇を抱き寄せていた。
引き寄せられるままに、俺の肩に悠宇の頭がポスリと乗る。
スリ・・・・
やわらかい髪に頬を寄せて、髪に軽くキスを落とす。
何のリアクションもなく無抵抗な悠宇が気になってチラリと下を見ると、首筋から耳までふわりと赤くなっていて・・・
「悠宇、赤い・・・・前、赤面症って言ってたけど、もしかして、これって俺にだけ・・・?」
「う・・・ついにバレた・・・。意識してるって思われたら恥ずかしいから隠してたんだけど
・・・・俺、ダメだな。慣れないや・・・あは。」
そう言いながら、隠すように俺の肩口に顔を押し付ける悠宇。
手は俺の腰に回して抱きついていて・・・
なんでそんなに可愛いことすんの。
空いた手で、悠宇の顎を掴んで上を向かせる。
悠宇の頬に葉の隙間から夕暮れのオレンジ色の日が落ちていて、色素の薄い茶色い瞳は光を受けると明るいブラウンとグリーンの混ざったような・・・・宝石みたいな色をしていた。
一瞬、何がしたかったかも忘れて見とれてしまって・・・
俺は、悠宇の全てに夢中にさせられるんだ。
ただじっと見つめる俺に、戸惑うように揺れた瞳がゆっくりと閉じられる。
それを合図にするように、悠宇の唇にゆっくりと口づけた。
ちゅ・・・・
足りねー・・
「悠宇・・・」
「ん、聡太・・んっ!」
俺の名前を呼ぶために開いた口に舌を滑り込ませると、ピクリと悠宇の舌が逃げて。
後頭部と腰を抱え込んで、その舌を追いかけるように深く口づける。
「ふっ・・・・ん・・・・っう、そーたっ・・・」
チュ・・チュク・・・
悠宇の口内を丁寧に舌で探る。上顎を舌でなぞると、ビクリと揺れる悠宇。
震える腰をしっかりと抱きとめて舌を絡ませると、悠宇もそれに応えて舌を絡ませてきて。
少し、戸惑い気味のその動きがすげー愛おしい。
本当は、もっと触りたい・・・・・悠宇の色んな反応が見たい・・・
名残惜しいけれど、これ以上したら本当に止まらなくなりそうで口を離す。
ゆっくりと目を開けると、悠宇と目が合って・・・
俺が笑いかけると、真っ赤になってうつむく悠宇。
「あーすげー幸せ。」
「・・・・・・俺、も・・・・・・」
抱きしめるとお互いの肩に顎をのせる形になって、悠宇の恥ずかしそうな返事が耳の横で聞こえた。
それから俺達は寄り添ってたわいもない話しをして。
二人でいる時間はあっという間で、もうすぐ日が暮れそうだった。
「悠宇、また明日・・・」
「うん。また、明日!」
何なんだこれ、もう、明日が待ち遠しいとか・・・
メシを食って、風呂に入って・・・後は寝るだけなんだけど、なんだか落ち着かなくて。
携帯を握ったまま、ぼーっとする。考えるのはもちろん悠宇のこと。
目を閉じて、悠宇の綺麗な笑顔を思い出す。
俺は悠宇の初恋人、か・・・・
胸がぎゅーっと締め付けられるように苦しくて、でも幸せでもあって・・・
なんか不思議な気分だ・・・。
電話、してみようかな。
さっきまで話してて、また電話とか・・さすがにウゼーって思われたりして・・・
いや、悠宇に限ってそんな・・・・・なんてウダウダ考えながら、ベッドに仰向けに寝転んで、悠宇の番号を呼び出してじっと見つめる。
悠宇は今、何してんだろ・・・
あーーー!!!我ながら、なんか女々しくね!?
ぐだぐだするなんて、男らしくねぇ!!!
俺は、勢いに任せて通話ボタンをタップした。
プルルルル プルルルル ピッ・・・
ワンコール、ツーコール
ヤバい、ドキドキしてきた。
どんだけなんだ、俺。
「はい。」
耳触りの良い、穏やかな悠宇の声。
「・・・?聡太・・・どうしたの?」
ヤバい、悠宇の声に浸ってたらしゃべるの忘れてた。
「あ、ワリ。特に、用はねぇんだけど・・・。
ごめん。なんか、声聞きたくて。」
電話の向こう、かさりと布がすれる音がして・・・
「ちょうど、そろそろ寝ようと思ってたトコだったんだ。
今、ベッドの中。寝る前に聡太の声が聞けるなんて思わなかった。
嬉しいから、謝らないで。」
「・・・っ。」
俺の好きになった人が、俺の事を好きでいてくれて・・・・・
こんなに幸せな事ってあるんだな・・・・
悠宇の優しい言葉に胸がじんわりと暖かくなる。
この気持ちを悠宇に伝えたいのに、中々いい言葉が見つからなくて。
「なんか、うまく言えねーけど・・・・俺、すごい幸せだから。悠宇、ありがとう。」
「聡太、俺もすごく幸せだよ・・・・俺にこんな気持ちをくれて、本当にありがとう。
明日、早く来ないかな・・・・聡太に会いたい。」
さっきまで会っていたのに、もう会いたいと思ってくれている。
そう思ってるの、俺だけじゃなかったんだ・・・その事が嬉しくて。
「明日、楽しみだな・・・俺、悠宇の事大好きだ。・・・じゃあ、おやすみ。」
「・・・っ・・俺も、大好き・・・・オヤスミ。」
ツーツー・・・・・・
電話の向こう、恥ずかしそうに言う悠宇を想像して自然と笑みがこぼれる。
ゆっくりと目を閉じて、明日を楽しみにしながら、俺は穏やかな気持ちで眠りについた。
☆
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