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第六十九話 解けない疑問
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タオルで体を綺麗にした後、恥ずかしがる悠宇を連れて二人で風呂に入った俺たちは、何をするでもなくただベッドの上で抱き合っていて・・・
カーテンの隙間から見える外は夕暮れ色で、二人でいると時間があっという間に過ぎてしまう。
そんな事を考えながら、頬に触れる柔らかい髪にキスを落とす。
学校でだって、どこでだって、ふと見せる笑顔や困った顔・・そんな可愛い表情を発見するたび、つい触れたくなってしまうんだ。
けれどそれは叶わなくて。
希に言われたように、俺たちの関係がバレて悠宇が肩身がせまい思いをするのは嫌だからな・・
いつも我慢している分、今がスゲー幸せで。
この瞬間は、誰に遠慮する事もなく思い切り悠宇を感じられる。
髪、耳、首筋・・・・抱きしめたままキスを落とすと、少しくすぐったそうに身をよじる悠宇。
なんだかその仕草が可愛くて、無意識に口元がほころぶ。
俺の腕の中じっと見上げてきたかと思うと、意を決したようにギュッと目を閉じた悠宇の顔が勢い良く俺の顔に向かってきて・・
チュッと、ぶつかるようなキスをしてきた。
触れるだけのキスなのに、真っ赤になって下を向く悠宇。
俺にキスする為にあんなに必死な表情をするんだと思うと本当に可愛いくてたまらない。
俺だけの悠宇でいてほしい。心から、誰にも渡したくないと思う・・・。
抱きしめる手に力を込めて、うつむいたままの悠宇の頭にキスを落とした。
「悠宇、可愛い・・・」
「馬鹿に・・してるでしょ・・・?」
「ふっ・・してねーよ。」
「笑った・・・」
「クックック・・・可愛くてつい、な。本当、どこまで好きにさせる気だよ・・・」
「嬉しい・・けど、やっぱり馬鹿にされてるような・・」
「してねーしてねー! な、そろそろ顔見せてくれよ。」
腕枕した手で髪をクシャリとかき混ぜると悠宇がゆっくりと顔を上げた。
息が掛かるほどの至近距離に悠宇の綺麗な顔。
目元がうっすら赤くなってる・・・・
まだ俺をそんなに意識してくれている・・・
そう思うとたまらなくなって目尻に優しくキスを落とす。
ふわりと笑う悠宇につられて微笑んだその時・・・
ピンポーンーーーー
突然のチャイムの音・・・
「あれ?誰だろう・・。ちょっと待ってて・・・」
不思議そうな顔をして、悠宇がベッドから降りる。
紺色のボクサーパンツを履いた、白くて綺麗な体につい見惚れてしまう。
自分の体の魅力にいまちいち鈍感な悠宇は、俺の視線に気づく事なく床に散らばるズボンを履いてリビングへと向かった。
「あれ?・・・松本くんだ!」
リビングから悠宇が驚いた声を上げる。
え・・なんで松本が悠宇の家に来るんだよ・・・。
そんな疑問を持ちつつも、慌ててベッドから降りて身支度を整えた。
ピッ・・・
「松本くん!どうしたの?・・・うん、うん・・・わざわざ良かったのに・・・うん、今開けるから、そのままエレベーターで上がってきて!玄関開けとくね。」
リビングに行くと、モニター越しに松本と通話を終えた悠宇が玄関の鍵を開けて戻ってきたところだった。
「あ、聡太。松本君がね、今日俺のシャツを汚しちゃったから謝りたくてわざわざクラスの子に住所を聞いて来てくれたんだって・・。気を使わせちゃったな・・・」
「・・・そうか・・ほら、シャツ。」
「あ、ありがとう。」
「な、悠宇は松本の事・・どう思ってんだ?」
ごそごそと着替えた後、少し顎に手を当てて考える仕草をする悠宇。
俺は、悠宇の居ないところであんな荒探しみたいな真似をした松本の事をまだ許せないでいた。
「何を考えてるか分からない時があって、ちょっと変わってるなとは思うけど・・友達になりたいって言ってくれたのは嬉しかったかな!今日みたいなおっちょこちょいなところもあって・・・」
ガチャーーーー
「朝比奈くん、お邪魔します!」
「あ、はーい!」
話の途中で松本が部屋について・・・
山本先生とは違うけれど、悠宇とただ友達になりたいってのも違うような松本の態度が気になる。
「どうぞ」
「あ・・・れ?真咲君・・・」
先に入るよう促されてリビングの扉をくぐった松本が俺を見て少し眉を寄せる。
その表情は後ろに立つ悠宇には見えていなくて・・
「ちょうど聡太も遊びに来てくれてたんだよ。さ、二人ともソファーにどうぞ。」
ニコニコと楽しそうに話しながらリビングに入る悠宇。
友達なら、他のヤツが居たって問題ねーだろ。なんでそんな顔するんだよ・・・。
悠宇の事は、何があっても俺が守ってやる・・・
俺はそう思いながら、松本を迎え入れた。
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