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第百六話 デート4 side 朝比奈 悠宇
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水族館に入ると、聡太はスケジュールの看板を至近距離でじっと見つめ始めた。
その横でそんな聡太をさりげなく隠し撮りする俺。
さっきまで横を歩いていたけれど、改めて少し離れて見るとカッコ良くて。
これはモテない方がおかしいよな・・・
そんな事を考えつつも、画面越しの聡太を見つめる。
なぜなら、聡太のセットされた髪のせいでいつも以上にオープンになった顔を直視できないからだ…。
やばい、どうやって撮っても様になるんだけど!?
ただ少し腰を屈めて看板を見ているいるだけなのに妙にカッコ良くて、真剣な瞳に吸い込まれそうで・・・
綺麗に撮れた写真を見ながらそんな事を思う俺と、携帯を向けられても微動だにせずに看板を見つめる聡太。
そういえば、さっきも女の子達に撮られてたのに、全然気が付いてなかったよな。
いつも俺の事をカッコいいとか綺麗だとか褒めてくれる聡太だけど、自分の事には少し疎くて。そんな所が可愛くもあるけど心配にもなってしまう・・。
こうしている間にも、女の子達が聡太の事をチラチラと見ていて。
無防備に見つめられる姿を見ていると、俺のだって独占欲がつい湧いてしまって、スケジュールに夢中になる聡太の名前を無意識に呼んでいた。
「聡太・・・。」
それはとても小さな声だったのに、ちゃんとこちらを振り向いてくれて。
「よし、じゃあ行くか。・・ん、ちょうど12時か・・・飯食ってから、ゆっくり回らねぇ?」
二人きりだからなのか、オープンにすると決めたからなのか、いつもより柔らかく笑う聡太を見ていると、いつも以上にドキドキしてしまう。
「えっと・・・確か、レストラン2つと、フードコートがあったよね?」
「あ、ワリィけど、俺の決めたトコでいいか?」
「もちろん!」
何でもとことん調べてくれる聡太に信頼を置いている俺は二つ返事でオーケーした。
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「予約していた真咲です。」
「はい、2名様ですね。どうぞこちらの席にお座りください。」
連れてこられたのは地下にあるレストランで・・・
両サイドの壁が一面水槽になっていて、間接照明だけの薄暗い店内は水槽の青白い光に照らされてとても幻想的だった。
席に案内されると、各席がサンゴのモチーフで仕切られていて、ちょっとした個室のようでとても落ち着ける空間で。
四人掛けのテーブルの水槽側に向かい合わせに座ると、真横には自分だけの海の世界が広がっていてワクワクしてしまう。
俺は注文を済ませると、水槽に手をついて漂う海藻や通り過ぎる魚達の幻想的な姿に目を奪われていた。
「すごい、綺麗・・・」
思わず零れた言葉に、聡太の反応が無くてなんとなく水槽から目を放すと、聡太がじっと俺を見つめていて。
「聡太・・・」
水面のユラユラした光に照らされた聡太と真正面から目が合う。
その整った綺麗な顔に光と影が交互に落ちる様が絵になっていて、思わず息を飲んで固まってしまう俺に、聡太の手がゆっくりと伸びてきた。
机に置かれた俺の左手に、聡太の右手がそっと重ねられる。
向かい合わせ、手を取られるだけでもドキドキするのに、いつもと雰囲気の違う聡太の真剣な顔に胸の締め付けがいつも以上に増してしまう。
「悠宇・・」
カタン・・・
聡太が何か言いかけた時、近くで物音がして。
店員さんが来たのかと、俺は慌てて触れられた手をサッと引こうとしたんだけどーーー
グッ・・
予想外に手を強く握られて引き止められてしまった。
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