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キャンプ 33 和解…?
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すぐにみんなは血相をかえて走ってきた。
代わる代わる、大丈夫?と聞かれて、その度に何度も大丈夫と繰り返した。
段々、心配そうな声な安堵の声に変わった。
理沙さんをチラッと見ると目に涙を浮かべて何度も
「よかった…よかった……」
と繰り返していた。
空兄と目があった。
気まずいなと思ってたけど、あのいつも僕に向けてくれる爽やかで優しい笑顔で笑いかけてくれた。目には少し涙がたまっていた。
僕のせいで…こんなに………
自分のせいでこんなにも迷惑かけている事、その重さを改めて実感した。
「…心、配、、かけて、ごめんな…さいっ」
理沙さんの目をみてそう伝えると、大袈裟に首を降りながら抱きしめてきた。
「いいの、無事でいてくれて…よかった……」
理沙さんの震えがダイレクトに伝わってくる。
突然抱きしめられてびっくりしたけど、その震える背中にそっと手をのせて抱き返した。
「ごめんなさい…ごめんなさい、ごめ、んなさい……」
時より、鼻を啜る音が耳をついて、胸を締めつけた。
もう声も出す事が出来ないのか、ごめんなさいと謝り続けるたんびに理沙さんは首を降っていた。
抱きしめられた身体が余りにもあったかくて、生きてるって実感が持てた。
いつの間にか父さんも僕の背中をさすってくれていた。
理沙さんにつれられてか気づいたら僕もないていた。
はじめは抑えていたその声も段々大きくなり、最後には子供のように大泣きしていた。
ーーーーーーーーーー
落ち着いてきて、段々暗くなりはじめた頃ようやく帰る事になった。
この3日間…色々あったな……
長かったけどあっとゆう間にキャンプが終わった。
そう思うと何故か名残惜しくもなった。
葵ちゃんと挨拶すると、静かに車に乗り込んだ。
中にはもう、斗真がいて寝息をたてながら寝ていた。
「…空さん?」
車の窓がコンコンっとなった音に気づき、斗真から窓へ視線をそらした。
ゆっくりと見上げるととそこには空さんがいた。
斗真の事があって、気まずかったせいもありわざと距離をおいていたのだけど……無駄な努力に変わった。
訝しげに空さんをみると、笑顔で返された。
その笑顔は初日にみた爽やかな笑顔と同じだったけど、その笑顔はどこか寂しそうな面影があった。
………
罰が悪くなって少し目をそらした。
「……………なんですか?」
車から再びでた俺は今、空さんとふたりでベンチに座っていた。
空さんからもらった缶コーヒーに口を付けることはなく、話を促した。
「随分、嫌われちゃった、な」
「……………」
「……………」
沈黙が続く。
こうゆうのは昔から嫌いだ。
とても時間が長く感じる。
嫌な事をこれでもかってぐらい、想像してしまう。
「話、ないなら俺帰りますね」
痺れを切らし、先に沈黙の糸を切ったのは俺だった。
なるべく冷たくいい放つ。
この空気を振りほどくように。
半ば無理やり去るように立つと、空さんは慌てる事もせず、決心したように語りはじめた。
「…斗真がさ、違ったんだ。光陽君といるときの顔が………………今ならわかるよ、俺…嫉妬してたんだ。」
そのムカつくぐらい綺麗な笑顔。
だけどどこか自嘲的に笑うその姿に少しだが空さんの思いを感じた。
「………こーんなちっちゃい頃から見てきてるからさ、斗真を自分が1番知っているって決めつけて、自己満足してたんだ。斗真を理解できているのは俺だけ。そんな優越感に浸っていたんだよ。
急に現れた光陽くんに斗真の知らない表情を見せられてさ、なんかもう悔しかったんだ。斗真を取られた気がしてやけになってた、、
ふはっ……なんだかさ本当、今になって、やっと頭冷えて冷静になってさ、自分でも馬鹿だったなって、、
ようやく光陽くんにも言えるようになったよ」
「……………」
ぽつり、ぽつりと言葉を吐き出して行く空さんの話を黙って聞く。
斗真への…そして自分を戒める言葉が心の奥深くに突き刺さった。
「本当、馬鹿だよね、、斗真の事、全部知ってる気になって、得意気になって、自惚れてた……嫌われたくなくて、本当の気持ちに気づかないふりしてたんだ。
………許して欲しい、なんて思ってない。自分でも都合がいいって分かってる。でもね、謝りたいんだ。こんなの迷惑かもしれないけど……」
そうゆうと空さんはベンチから立って頭を下げてきた。
俺はそれを黙って見つめることしかできなかった。
「……俺のつまらない意地のせいで、嫌な思いさせて………ごめん」
静かにそうゆうと頭を下げた。
中々顔をあげようとはしない空さんに空さんの思いが、気持ちが、ぐっと伝わってきた。
俺だったら…もし、俺が空さんの立場だったら………どうしていただろうか、こんな風に謝れたのだろうか、いや、きっと俺だったら…空さん以上に傷つけていたかもしれない……
「……謝る事、ないじゃないですか、、」
「………え、」
「……………だって、それ、斗真が好きでやった行為でしょ…まぁ限度はあると思うけど……俺だって空さんの立場だったら、不快に思います。それこそ全力で阻止しますから。好きなら尚更……それに感謝してます。空さんのおかげで、決心つきました。」
「決心……………?」
「はい、斗真の幸せは俺が守るって…ずっと幸せって思っていられるように俺が、斗真のそばにいます。斗真が俺に愛想を尽かさない限りは……世間からどう思われようと将来も、覚悟を決めました。」
自分の気持ちを素直に伝えた。
びっくりしたのか目を丸く見開いた空さん、だがすぐに持ち前の笑顔を取り戻し、微笑んだ、
「そうか……うん、光陽くんになら頼めそうだ。斗真を…幸せにしてあげてね」
なんだよ、これ……
さっきまでぴんぴん張り詰めていた空気がとけて、普通の……どころかあったかい空気までもが漂いはじめた。
「…当たり前ですよ」
「……うん、光陽くんも幸せに…、ありがとう」
何故かすんごい照れ臭くなって、顔を背ける。
なんだろうこの変な気持ち………
凄く、もやもやする、
スッキリしない
そうだな、一言で表すなら………
気色悪い
こそばゆい気持ちだ。空さんが素直だとなんか調子狂う……
「んじゃ、俺行きますね」
今度は別の意味での沈黙に耐えられなくなり、逃げるようにその場を後にした。
「……光陽くん、ありがとう!………斗真が光陽くんに愛想を尽かす日がくることを祈ってるよ、」
そうゆうとハニカミかながら手を降ってきた。
……くっそ、…この爽やかスマイル男、、30秒前の俺の気持ちを返せ。
「一生そこで見守っててください」
盛大に毒づきながら少し睨みつけるが、全然効果はなかったようで、空さんはけろっとしていた。
はぁ、ため息をつきながら車を目指す。
口元が少し緩んでいた事に気づいた。
やっぱ、空さんはこうでなくちゃな。
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