アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
スキ
-
篠の返しが、あまりにも思い描いてたそのままで目の前が真っ暗になる。
自分で自分の首を絞めにいったけど、ダメージは予想より遥かに大きかった。
もし目で確認できたとしたら、多分血まみれだと思う。エグい。
「先輩? ……引いた?」
恐々した声で心配そうな顔するから、思わず苦笑いが零れた。
「引かれると思うなら言うなよ」
「そ…そうだけど。
でもさ、大好きで憧れの先輩には知っててもらいたいじゃん」
「はいはい」
「信じてないでしょ!」
「信じてる信じてる」
「普通そういう時は2回繰り返したりしないんですけど」
「はいはいはい」
「!!」
さすがに話すのがしんどくなってきた。
涙のダムは決壊間近で、これ以上は般若みたいな顔にならないと防げそうにない。
「じゃあ…俺、悪いけど先帰るわ」
「えっ先輩?」
「久しぶりのバスケではしゃぎ過ぎたかも。
ちょっとフラフラするんだ」
「そうなの? もうちょっと待っててくれたら…俺送って帰れるけど」
「大丈夫だよ。篠にこれ以上面倒かけたくないし」
「でも、」って詰め寄った後輩の腕をするりと抜けて、後ろ手でドアの取っ手を引いた。
そのまま向こうに体重かけて、開いた隙間に体をねじ込み「じゃ」とか言って急いで閉める。
周りに誰も居ない廊下は、俺と同じくらいなんだか虚しく感じた。
家に着いて、制服を着替えるのもダルくてそのままぼふっとベッドにダイブ。
瞬間、これまでのことが走馬灯みたいに頭を回り始めて…いらん事ばっかり思い出す。
そもそも、あいつは主語を抜かして喋りすぎなんだよ。
「好きです」の前に(憧れの先輩が)が抜けてんの。
合格発表のあの時だって、緊張感のカケラもなく「先輩のこと好きすぎて受けちゃいました」なんて言われたら、誰だって戸惑うに決まってる。バカ。
……いや、
バカなのは、それを全部鵜呑みにした俺のほう…なんだけど…!
好きだって気づく前に、篠の言ってることの意味を理解してたら…こんなどうしようもないことになんか、なってなかった。
気づいてしまったらダメだ。
告白しようなんて思ってたわけじゃないしそこまで思い詰めてもないけど、こんな不毛なことってある? ねーよ。
好きなヤツに好かれてると思ったら実は全然そうじゃなくて、
しかも相手は男で、
フリーなら多分誰とでもあいつは付き合ってて、
多分俺が好きだって言えば多分だけど付き合ったりしちゃえて、
でも『好き』の種類が違うんだ。
美香が好きだった頃より不毛だ。
脈ない上に、実ったら実ったで報われねー…。
篠と関係を絶ってた三年間、何かしら話したり遊んだりしてたら…篠の考えてることがわかって、俺の気持ちも変わってたのかな。
そんなこと…ないか。
篠のこと好きになる時期が…早まるだけだな……。
だんだん重くなってきた瞼に負けて目を閉じた。
幸せな夢を見た気がしたけど、真夜中に目を覚ました時には全部忘れた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
15 / 37