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楽しい休日を過ごすためには
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君とこうして暮らすようになる前は、ああ、休日を無駄に過ごしてしまったなあ、と思うことが何度も何度もあったんだ、って、俺の恋人がなんだか妙なことを言った。
休みの日なんて、基本的に無駄に過ごすためにあるようなもんだろ? え、っつーか、おまえそういう時いったいどんなことをやってたわけ? あれか、一日18時間睡眠とかやったりしてたのか? って俺が聞いたら、恋人は大真面目な顔で、いや、私はそんなに長い時間は続けて眠れないよ、って言ってから、恥ずかしそうな顔でモジモジしながら、いや、だから、あの、なんというかその――か、可愛い猫ちゃん動画をずっと見ていたら気がついたら何時間も経ってしまっていた、とか――って言うもんだから、俺は恋人の頭をグリグリなでてやりながら、いつも思ってるんだけど、おめーはだいたい、クソ真面目すぎる! そんなんでへこんでたら、世の中の連中の8割以上は全員地の底までめり込むほど落ち込まなきゃいけなくなる! って言ってやった。
って、そこまで言ったところで俺は、ん? って首をひねった。
いや、っていうかおまえ、今でも俺といっしょにネットの馬鹿動画見てずーっと遊んでたりするよな休みの日に? おまえ、そういうのはいいのか? っていうか、猫動画も馬鹿動画もそんなに変わんねえような気がするけどな俺は?
って、俺が恋人の顔をのぞきこみながら言うと、恋人はニコニコッと笑って、君と過ごす時間は例え何をやっていても、私にとっては絶対に『無駄に過ごす』時間になったりなどしないのさ。だから私は、君と一緒に暮らすようになってから一度も、『無駄に過ごしてしまった休日』というのを体験したことがないんだよ、って言った。
俺はなんだかうれしくなっちまって、やっぱり恋人の顔をのぞきこんだまま、なあ、もしかして、俺って今すっげーほめられてる? って聞いてみた。そうしたら恋人も、やっぱりうれしそうにニコニコ笑ったまんま、もちろんほめているし、それより何より、君への愛が私の世界をとても素晴らしいものに変えてくれたということを、君に伝えたかったのだよ、って言った。
俺は、柄にもなくなんだかメチャクチャ照れちまって、……おう、とかなんとか我ながら愛想のない返事をしちまったんだけど、俺の恋人はおひとよしだから、俺をほめたことを無駄なことだとか、そういうふうには全然思ってねえみてえだった。
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