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〇月×日『好きになってよかった』
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「ゆず…」
朝、矢野くんを部屋まで迎えにいく。
矢野くんはちゃんと起きて、制服に着替えてはいるけど、学校へ行く気は無いって顔してる。
学校へ行って、山梨先輩に会うのが怖いんだ。
その気持ちが、痛いくらいわかる。
矢野くんは僕が歩くんを好きだって知らない。
だから下手な気休めは言えないけど、幼なじみとして矢野くんを支えたい。
「学校いこ?」
「……わかってる」
「矢野くん、毎日迎えに来てくれてたよね。これからは僕が矢野くんを迎えに来るよ。一緒に行こう?」
矢野くんの虚ろな瞳が僕を見る。
泣きそうに潤んだ瞳が近づいてきて、気づけば矢野くんに抱きしめられてた。
「失恋て、つれぇな……ゆずは、すげぇな」
矢野くんが子供みたいに、僕の胸に顔を埋めながら呟く。
「……辛かったよ、僕も。大好きだったから……でも、好きになって、よかったよね……」
矢野くんの頭を抱きしめた。
人を好きになるって、辛いことばっかりじゃないよ。
矢野くんを好きになって、辛いこと沢山あったよ。
けど、今も矢野くんが好きだよ。
矢野くんのいいとこいっぱい知ってるから。
矢野くんも、きっとまた新しい恋できるよ。
先輩と付き合って、矢野くんは変わった。
来る者拒まずで遊んでた矢野くんが、先輩に恋して、先輩に好かれようって頑張ってた。
先輩を大事にしてた。
好きな人のことで一喜一憂できるんだもん、矢野くんは前の矢野くんとは違う。
「……ごめん。ありがとな」
先輩に恋して、失恋した矢野くんを近くに感じた。
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