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〇月×日『目撃』
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「え」
思わず発してしまった。
驚く光景を目にして。
歩くんと出かける約束をして、待ち合わせ場所で彼を待っている時のことだった。
待ち合わせ時間より早く着いてしまったから、ドキドキしながら行き交う人たちを観察してた。
親子だったり、友人同士、カップル、休日の街中は賑わっていた。
歩くんと付き合うことになって、二人で出かけるってことは、これはデートだ。
他人の観察をしたって仕方ないけど、落ち着かないし、こうしてる他気を紛らわせる術が思い当たらなかった。
そんな時だった、
人波から頭1つ抜け出る長身に、目立つ金髪。
矢野くん?
その存在に気づいて目で追っていて、一瞬息が止まりそうになった。
矢野くんの隣に、山梨先輩がいた。
なんであの二人が一緒に……
二人は別れたはずだ。
矢野くんは先輩に別れを告げられて、それからは会っていないはず。
そのまま先輩が卒業したから、もう接点も無くなったと思ってたのに……
「まこと先輩」
呼びかけられて、ハッとする。
目の前に歩くんがいる。
「ぁ……」
視線を人混みに戻してみるけど、もう矢野くんと山梨先輩の姿はなかった。
……見間違いなんかじゃなかった。
確かに二人だった。
「誰かいたんですか?」
「…………ううん、なんでもない」
今更、
今更なんで……
隣には歩くんがいる。
さっきまで歩くんを待ち焦がれながらドキドキしてたのに、今は違う意味でドキドキしてる。
なんで、矢野くん……
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