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○月×日『誰の男①』
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激しい頭痛で起き上がれない。
…………起き上がれない?
一体僕は今、どうなってる?
「……ぅ、……?」
重い瞼を上げる。
視界が霞む。
兎に角頭が痛くて、視線を動かすのも苦痛だったけど、今の状況を知るために眼球を動かす。
「あ、起きたんだ」
聞き覚えのある声がして、視線をその声の主に向ける。
「強く殴りすぎたかな?でも謝らないよ。」
動くことが叶わない僕の顔の前に、花村さんが座った。
今、殴ったて言った……?
僕を殴ったの?
じゃあ、この頭痛の原因は花村さんなの?
「死んじゃってもいいやー、て思ったらさ、力入っちゃったのかな」
……何言ってるんだろう、この人……
「あゆと付き合ってるくせに、昂平と寝てきたの?」
綺麗な顔が、僕を見下ろす。
……こんな花村さん、見たことない。
綺麗な顔なだけに、いつものヘラヘラした感じのない真顔は、迫力が違った。
「聞いてるんだけど?」
花村さんは座ったまま僕の体を足蹴にする。
痛くはないけど、怖い。
いつもの花村さんも、何考えてるかわからないから怖いけど、今はその何百倍も怖い。
この状況は、矢野くんの家からの帰り道を1人で歩く僕を見つけて、頭を殴って部屋につれてきた…………てことらしい。
「……違……」
逆らったら次は何されるか分からない。
口を開いて否定しようとするけど、言葉を発すると頭に響く。
確認できないけど、僕の頭、どうなってるんだろう。
出血はしてないように感じるけど、こんなに痛いなんて、何で殴ったらこんなに痛むんだろう。
「違うんだ?……これからどうしようね」
花村さんの様子から、これは計画的ではなく、衝動的犯行だということがわかる。
偶然僕を見つけて、腹が立ち、殴った……ということだろう。
花村さんの僕への怒りは張り手で済まないレベルに達してるようだ。
「あ、いいこと思いついたよ」
そう言うと、花村さんは僕の尻の辺りに手を伸ばして撫で回してくる。
「これこれ」
どうやら僕の携帯を探していたみたいだ。
花村さんは僕の尻ポケットから携帯を抜き取ると勝手に携帯をいじりだす。
「暗証番号は?」
携帯越しに見下ろされる。
暗証番号……篤也さんの誕生日のままだ……。
「……たんじょ…び……」
「誰の?昂平?」
花村さんは矢野くんの誕生日を知っているのか、携帯を操作しだす。
もちろんエラーが出たみたいで、睨まれる。
「……06、09……」
「はは、前の男の誕生日?笑えるんだけど」
篤也さんの誕生日も知ってるみたいだ。
花村さんはパスワードを解くと、僕の携帯を使って誰かに電話をかけ始める。
「僕だよ。分かる?」
誰に電話してるんだろう……
「今すぐうちに来てよ。そしたら解るよ」
花村さんが楽しそうに電話の向こうの誰かに話す。
これは、始まりに過ぎなかった。
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