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○月×日『宣言』
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将平くんの部屋は矢野くん部屋の隣。
部屋の中にトランクが置いてある。
将平くんが帰ってきてすぐこの部屋に入ったのなら、僕と矢野くんの立てていた物音は丸聞こえだったことが伺える。
すごく恥ずかしい。
「座って」
将平くんがソファーに座り、自分の横に座るようにと促してくる。
僕は大人しくそれに従う。
「大丈夫だったのか?」
将平くんが僕の手を握って、僕を真っ直ぐに見る。
将平くんの澄んだブルーの瞳に、情けない僕の顔が映ってた。
"大丈夫だよ"そう言おうとしたのに、僕の表情はそうはいってなかった。
「…………怖かったよ、」
将平くんが黙って聞いてくれているから、僕はポツポツと、少しずつあの日の出来事のことを話すことにした。
「……やめてって、何度も言ったけど、やめてくれなかったし……、痛かった…」
「うん、」
「病院に一人で行くのも、不安だったし、恥ずかしかった……」
「うん」
「昂平くんが僕になんであんなことしたのかわからないまま、その後も何度もした。……何度目かの時、昂平くんが女の子とシてきたんだって気づいて、すごく嫌な気持ちになったんだ」
「だからその気持ちが恋だって?」
矢野くんを好きだから、思い出すのも嫌だったあの日の出来事が緩和していったんだと思う。
「……どんな始まり方でも、今は、絶対、昂平くんが好きだもん」
これだけは間違いない。
「そっか、」
将平くんが頷く。
ずいぶんあっさり頷かれて戸惑う。
「……将平く、っ」
息継ぎも、
瞬きも忘れた。
目の前には将平くんの青い瞳。
今、将平くんにキスされてる。
驚いて声も出ない僕に、将平くんは触れるだけのキスをして顔を離した。
将平くんの形のいい唇が視界に入って、キスされたことを実感する。
顔が熱い……。
「ドキドキした?」
将平くんが悪戯成功て顔で僕をみてくる。
ドキドキ?
してるよ……そんなの当たり前……
「それって恋じゃないよな?」
「………………え?」
「昂平の手段と一緒。まことの許可はいらない。強引に自分を意識させる。」
将平くんの手が、ゆっくり僕の頬を撫でる。
「俺が証明してやる」
将平くんが綺麗に微笑む。
それは、僕が見てきた中で、1番悪い笑顔だった。
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