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○月×日『先輩』
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「柚野ちゃん柚野ちゃん」
下校中、元気の良い声に呼び止められた。
「先輩…」
呼ばれた方へ振り向くと、懐かしい人がコンビニから出てきた。
山梨蘭先輩。
僕の一個上で三年生。
とにかく元気な先輩だ。
僕が一年生のときに委員会が一緒でお世話になった人だ。
「お久しぶりです…」
「そだねー。元気ぃ?」
「はい。先輩も、元気そうですね」
「僕の取り柄だからねぇ」
「はは…」
「柚野ちゃん、そっちの怖い人友達?」
「え?」
先輩が笑顔のまま指差した僕の背後には、いつの間に矢野くんがいた。
矢野くんは見るからに不機嫌そうで、睨むような目付きで山梨先輩を見ている。
「…。…あんた、委員会でゆずと一緒にいたやつ」
ふっ、と。
矢野くんの目付きが緩んだのを感じた。
「そうそうー。山梨ですー。前に柚野ちゃんにはお世話になりましたー。いやー、柚野ちゃんにこんなカッコいい友達がいたなんてねぇ」
山梨先輩は戯けたように笑いながらそう言って「またね」と手をふって去って行った。
「………矢野くん、あの…」
「帰るぞ。」
一瞬だけど山梨先輩をきつく睨んでたのに、緩んだ理由はなんだったんだろう。
去って行く山梨先輩の後姿を一度だけ振り返って、帰路につく矢野くんの後を追った。
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