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○月×日『出し巻き卵②』
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「うま」
使い慣れない台所で夕食を作っていると背後から伸びてきた手が、できたばかりの出し巻き卵をつまんでいった。
「…、」
「なんだよ。いーだろ?一個くらい。」
つまみ食いした主を見上げると、反省する様子はなく、出し巻き卵をもう一つつまむと、それを口の中に放り込んで満足気に笑った。
「なんで急に出し巻き卵?」
「ぇ…、なんでって…」
「ああ、わかった。昴平に作ってやったんだ?それでほめられたんだ」
「…、」
無言は肯定。
黙ってしまった僕を面白そうに見下ろして、それからまた出し巻き卵を摘まむと彼はソファに座った。
「あの、篤也さん…」
「また俺にも作ってよ」
「ぇ、ぁ…はい…」
怒らせたかと思ったのに、篤也さんはただ微笑んでそう言ってくれた。
「まこと、こっちおいで」
手招きする彼に、少し緊張しながら近づくと、優しく引き寄せられて膝の上に乗せられた。
「細すぎ。もっと太れば?」
そんなことを言いながら、篤也さんは僕の身体を胸に抱いた。
その仕草は、彼の荒々しい見た目からは想像できないくらい優しかった。
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