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○月×日『もう無い』
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知らない人に見られながら矢野くんに抱かれた。
僕はあの日のことがどうしても忘れられなかった。
あの日、あの場にいたのは僕と矢野くんの他に、同じ学校の三年生の花村さんと、その彼氏らしい人。
それから、大学生の篤也さん。
その三人だ。
矢野くんの交友関係が広いのは知っていた。
けど僕は矢野くんのそういう部分には目を伏せていた。
矢野くんの、友達と遊ぶっていうのは、普通じゃないからだ。
その日その場で会った人でも、気にいったらセックスをする。
事実、花村さんは矢野くんと付き合いが長く、肉体関係もある人だ。
矢野くんが僕以外で部屋に連れ込むのは花村さんだけだから、嫌でも覚えてしまった。
篤也さんはあの日始めて見た顔だった。
矢野くんに抱かれながら固まる僕を面白そうに見ていた花村さんとは違って、灰皿を吸殻の山にして部屋を真っ白にしていたのが篤也さん。
あの日がなければ、僕の気持ちが揺らいだりはしなかった。
矢野くんだけが好きなままだった。
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