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○月×日『食欲と顔色』
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「なんか顔色悪くないか?」
昼休、食が進まない僕の顔色を矢野くんがのぞき込むようにして見る。
「……大丈夫」
そう言ってお弁当を一口。
でもすぐに箸は止まる。
こんな様子じゃ、矢野くんが気にするのも仕方ない。
けど、食欲なんて気にならないほどに矢野くんの隣にいることへの罪悪感が凄く大きい。
将平くんとのことは、話すに話せない。
もうあれは将平くんからの一方的なものでなく、受け入れてしまった僕に被害者面はできなかった。
「……今日、うちくるか?」
「…………ううん、今日はやめとく」
将平くんは矢野くんがいるのを知っていてああいったことをする。
次は無いにしても、そんな彼のいる家には行けない。
矢野くんと一緒に居たって、今みたいな気持ちのままじゃ矢野くんに不審がられそうだ。
「昨日寝ててすぐに返事しなかったから拗ねてるのか?悪かったよ。」
「え、…………大丈夫、気にしてないよ?」
矢野くんに謝られて、更に罪悪感が増す。
矢野くんは何も悪くない。
僕がちゃんとしてたら……
「ならいいけど。もう食べないのか?」
「うん……」
「じゃ、もらう」
矢野くんが僕のお弁当の残りをもくもくと食べる。
「……、」
この罪悪感は、どうしたら消えるんだろう。
……将平くんがいなかったら、いなくなったら消えるんだろうか。
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