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○月×日『answer』★
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今日は天気が悪かった。
朝から雨が降り続いてる。
矢野くんと出かける予定だったけど、外出する気になるはずもなく、僕の部屋で過ごすことになった。
矢野くんは僕の家まで来る間にかなり濡れていて、濡れた服を鬱陶しそうに脱ぎながら床に座った。
「10分も歩いてないのに有り得ねぇよ」
僕と矢野くんの家は徒歩圏内。
すごく近い。
けど傘をさしていてもずぶ濡れになってしまうほどに雨の量が凄かった。
テレビで洪水警報が出ていたけど、それも頷ける。
「これ着替えね。」
僕の部屋に置いてあった矢野くんの部屋着を出して、矢野くんの濡れた体をタオルで拭く。
「お風呂入る?」
「いらね。」
「風邪ひかないでね」
「大丈夫だろ、このくらい」
矢野くんは部屋着を着ると、僕からタオルをとって髪を適当に拭くとベッドの上に座り直す。
「前も風邪ひいたくせに」
僕も矢野くんの隣に座って、まだ濡れた矢野くんの髪をタオルで拭く。
「前?…………あー、あったな、そんなこと」
あの時は、家に連絡も入れず外出して篤也さんの部屋で寝てしまった僕を、家族と矢野くんが雨の中探し回ってくれた。
傘もささずに僕を探してくれた矢野くんは風邪を引いて学校を休んだ。
「マジ、あん時はビビったんだぞ。おばさん半泣きだったし」
「うん……」
一人っ子だからって訳じゃないけど、お母さんもお父さんも、少し過保護な所がある。
矢野くんの家みたいに放任な感じとは真逆だ。
門限はないけど、遅くなる時は自主的に連絡を入れてたし、だいたいが矢野くんと一緒だから、両親も心配はしていなかったのだろう。
なんでか矢野くんは僕の両親からすごく信頼されてる。
矢野くんが学校だけでなく、僕の両親にも猫を被ってるからかもしれない。
「あー、嫌なこと思い出したぁ」
矢野くんが僕からタオルを奪うと、床になげすてる。
「嫌なこと?」
「お前あん時にはあの人とさ…」
「篤也さん?」
「言うなよ。聞きたくねぇよ」
矢野くん、嫉妬してる。
篤也さんのことを嫌うのは、馬が合わないだけじゃなく、嫉妬してるからなんだ。
僕が、初めて付き合った人で、矢野くん以外と関係を持った唯一の人だ。
「……昂平くん、」
矢野くんの髪に触れる。
まだ少し濡れてる。
「…………僕のこと、いつから好き?」
「は?」
「……篤也さんのことも、歩くんのことも、今思えば嫉妬かな……と思うこともあるけど、ただの独占欲かなとも思えるから…」
「……確かに、独占欲だった。前にも言ったことあるけど、お前を取られた気になってたんだ。正直、今思えば嫉妬に近かったかもな。」
「そっか…」
「いつからって言われてもなぁ、今振り返ると、幼稚園の時から?」
「えっ」
予想外の答えが返ってきて、思わず声を上げてしまった。
「そんな前?」
「今思えば、な。なんだかんだ、ずっとお前のそばにいたろ?」
「……うん、」
なんか、急に胸が熱くなってきた…。
心臓がバクバクと脈打って、矢野くんの言葉に喜んでる。
「でも、馬鹿だったんだよな、中学ん時、ゆずとヤって、それが好きだってことには気づかなかった。好きだったから独占したくてあんなことやらかしたのに、ただそうすることでお前が手に入った気がして、気持ちは置き去りにしたんだよな。それからどんどん傲慢になっていった俺を否定したのが蘭さんだったんだよな…」
矢野くんが少し苦しそうな表情をする。
「あの人がいなかったら、ゆずを好きだって気持ちを思い出さなかったかもな……」
なんでも自分の思う通りにして、思い通りにしてきた。
そんな矢野くんを否定したのが山梨先輩だった。
彼は当たり前のことを当たり前だと言える人だった。
矢野くんの周りの人間とは違って、矢野くんを甘やかしたりしなかった。
自分を犠牲にしてでも、人を思いやれる人だった。
「蘭さんとゆずへの感情は全然違う。あの人のことは、尊敬に近い気持ちがあった。俺は自分勝手な人間だ。だから、俺と全然違う真っ直ぐなあの人に惹かれた。けど、お前に対する気持ちとは違う。ゆずのことは、昔からずっと変わらない。」
「……昔から変わらない?」
「そう。ずっと俺がそばにいて護ってやるって、そう思ってた。……俺は、お前のことが可愛くて仕方ないんだよ」
「………そ…そんな」
矢野くんの目が見れない。
恥ずかしい。
顔が熱いよ……。
前から気になってたことを聞いたけど、こんな真剣に答えが返ってくるなんて思わなかったから、どうしていいかわからない。
「ゆず」
「ん、こ……くん」
矢野くんに抱き寄せられてキスされる。
唇を食べられるみたいにはまれて、胸がドキドキした。
「……いいか」
唇の隙間から問われて、僕は小さく頷いた。
僕を抱くことに許可を求める矢野くんが愛おしくて、答えは一択しかなかった。
「ぁ、ぁ…」
服を脱がされて、矢野くんの唇が胸の突起を挟む。
舌で転がされたり、軽く歯をたてられるだけで腰がビクビクと揺れた。
脚の間では矢野くんの指が繋がるための準備を始める。
いつだったか買ったローションで濡らしたそこは直ぐに開き始めて、矢野くんの指を楽々飲み込む。
「お前、緩くなってないか?」
「え、そんなことないっ」
そんな場所が緩いなんて、そんな恥ずかしいことない。
セックスしまくってるみたいに聞こえる。
「ローション使ってるからか」
ぐちゃぐちゃと音を立てながら矢野くんの指が抜き差しされる。
緩く……は、なってないはず。
ていうか、そんなことあるんだろうか……?
あるんだとしたら、やっぱり連日セックスしてるからなのかもしれない。
そう、緩く……ではなく、受け入れやすい体になってしまってる。
矢野くんとも、将平くんとも寝てるから、そこが形を覚えるみたいに溶かされてる。
「あっ、ぃっちゃうから……、も、きて…」
めいっぱい脚を開くと、矢野くんの喉がゴクリと音を立てたのが見えた。
「ゆず…」
矢野くんが指を抜いた場所に勃起したそれを擦りつけてくる。
まだゴムを被せてない生の感触にたまらない快楽を感じた。
「ん、いいよ……いれて、挿れて……っ」
ぐじゅ、と音を立てて矢野くんのが押し込まれる。
すぐに矢野くんがピストンを始めて、肌のぶつかる音が耳を犯す。
「あっ、ぁんっ、ああ……っ」
「っ、ゆず、声」
矢野くんの指が僕の口の中に押し込まれる。
僕はそれに舌を這わせて吸った。
「んんっ、むっ、ぅぅ」
僕の喘ぎ声も、矢野くんと僕の肌がぶつかる音も、窓を叩く雨風でかきけされてるかもしれない。
けど、今この家には僕と矢野くん意外に僕の家族がいる。
こんなことしてるなんて、バレる訳にはいかない。
「うっ、んんっ、ふ、ぅぅ」
「はぁ、っ、やばい……ぃく、っ」
達しそうな矢野くんの声を聞いて、思わず矢野くんの腰に脚を巻き付けた。
僕の中に埋まってたソレが出て行ってしまう前に。
「……ゆず、っ」
「んぅぅ……っ」
矢野くんのが抜けきる前に、ソレがビクビクと脈打つ。
僕の中に矢野くんの精子が注ぎ込まれる。
「お前…」
「ごめんなさい……、でも、出ていかないで…」
今、すごく矢野くんが愛おしいんだ。
繋がっていたい。
「ゆず、」
体を抱きしめられて、キスされる。
抜けかけていた矢野くんのが奥まできて、僕の中に全部収まる。
「たまんねぇよ…」
さっきは指で口を塞がれてたけど、今度は唇で塞がれる。
矢野くんの腰の動きがどんどん大胆になる。
「はっ、ぁぁ……ぃく、ィ…っちゃぁ…っ」
今度はおもいっきり奥で矢野くんのが爆ぜた。
「ん……、全部、ぜんぶ出して……」
矢野くんを力いっぱい抱きしめた。
ほんとは、後悔が無いわけじゃない。
矢野くんに捨てられるかもしれない。
それを理解した上で将平くんと浮気してる。
けど、やっぱりこうして矢野くんに求められると、矢野くんが好きだと実感する。
「……昂平くん、」
「ん?」
「……、……ううん、なんでもない」
この時間にひたってたい。
けど、裏切ってるんだ、僕。
それで……、これから、もっと裏切るんだ。
できるのかな、
ここぞって時に、ほんとに僕は矢野くんを裏切ることができるのかな。
そのために将平くんと繋がってるんだ。
その時がくる。
その時が来たら、言えばいいんだ。
きっと、できる。
できるよ。
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