アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
○月×日『リベンジ』
-
先日のお出掛けが大雨で中止になってしまったから、今日はリベンジの日だ。
特にどこに行くとも決めていなかったけど、黙って矢野くんについてきたら、水族館に到着した。
「デートぽいだろ」
水槽の魚を眺める僕に、矢野くんが微笑みかける。
「……うん」
少し照れくさくなって、声が小さくなったけど、矢野くんには聞こえたみたいで、矢野くんはご機嫌な様子だった。
学校帰りに寄り道は何度もあった。
けど、こんなデートスポットに連れてきてくれたのは初めてかもしれない。
……自分だけが、矢野くんとこういうところに来たいと思ってたわけじゃないんだ…。
矢野くんは、自分が嫌なことは絶対しないだろうから、嫌嫌連れてきてくれたわけじゃないはずだ。
僕とデートしたいと思って連れてきてくれたんだ。
デートぽいだろ、て言っちゃってるくらいだから、そういう事なんだろう。
……そう思うと、嬉しくてたまらない。
「でもゆず、お前はぐれるなよ。」
休日ということもあって、館内はかなり混雑してる。
人気のエリアなんかは特に人が密集してて怖いくらいだ。
「うん。……でも、はぐれてもすぐ見つけられるよ。昂平くん大きいから」
そう、こんな人混みの中でも矢野くんは目立つ。
高身長に加えて金髪なのはかなりのトレードマークになる。
学校とちがって、こんな公共の場、しかも観光スポットだと外国人観光客も多く居る。
けど、そんな中にいても矢野くんはやっぱり目立ってる。
「カッコイイからの間違いじゃねぇの?」
矢野くんが歯を見せて、いたずらっぽく笑う。
「……それは、……」
大前提だけど……。
水槽の中にじゃなく、矢野くんを気にする人がいるのには気づいてる。
僕だけじゃない。
皆、矢野くんのことカッコイイて思ってる。
「……かっこいぃょ……」
口にしていて恥ずかしくて、もごもごする。
顔も熱いし、たまらない。
キスしたりエッチなことするより、言葉にする方が100倍はずかしい。
こんなの、おかしいかな……。
「……おまえ、マジで」
矢野くんもどこか歯切れが悪くて、恥ずかしくて俯いてた顔を上げると、矢野くんの頬も真っ赤だった。
照れてる。
矢野くんが、照れてる。
「見んなよ」
矢野くんが大きな手で僕の顔を覆ってくる。
僕だけじゃないんだ。
矢野くんも、こんなふうに照れたりする。
なんで僕だけだなんて、思ったんだろ……
「ほらいくぞ。」
矢野くんに手を引かれる。
人混みに紛れて繋いだ矢野くんの手も、熱くて、自分の火照った手と触れ合って、溶けてくっついちゃいそうなくらいだった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
154 / 196