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○月×日『口論』
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学校帰り、今日は矢野くんの部屋にお邪魔することになって家に向かってる途中の事だった。
「兄貴……」
考え事をしていたら、矢野くんがポツリと呟く。
顔を上げると、矢野くんの家の前に将平くんがいた。
矢野くんの家は将平くんの家でもあるから当然なんだけど……将平くんは1人じゃなかった。
将平くんより少し背が低いくらいの男の人と、家の前で話してる。
いや、話してるというより……
「俺に触るなっ」
将平くんの叫ぶような声が聞こえる。
そう、話してるというより、口論をしてる。
そんな雰囲気だ。
男の人が将平くんの腕を掴もうとすると、将平くんはそれを思い切り振り払って叫んでた。
「あ、」
将平くんに腕を振り払われて、苛立ったような顔をしたその人に見覚えがあった。
たしか、柳一志さんだ。
前に矢野くんを将平くんと間違えて声をかけてきた将平くんの同級生の。
矢野くんが連絡先を教えていたし、それで連絡がついて会うことに……?
でも、将平くんはスマホを壊して連絡はとれないはず。
……リセットするって言ってた。
それなのに、なんで?
久しぶりに会って感動の再会て感じじゃない。
将平くんはすごく怒ってるみたいだ。
「そんな叫んだらご近所迷惑だぞ」
柳さんが振り払われた手をブラブラと揺らすと、何でもないって顔で将平くんを見る。
「場所移そうよ」
そう言うと、将平くんの腕を掴む。
将平くんは今度はその手を振り払わなかった。
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